さてさて、見た人がイヤーンめんどくせーと、飛ばしてしまう率がかなり高いであろう、とっても理科な話でもしてみようかと。
たまに、こんな言葉を聞く事があります。
「うちの木立アロエっていうサボテンが…」
まず、サボテンってなんだろう?
広義では多肉植物の総称的に使われる事が多いと思います。
しかし、生物分類的には、これは間違った表現になってしまいます。
サボテンとは、サボテン科の植物を指し、アロエは、アロエ科アロエ属の植物です。
「うちの木立アロエっていうサボテンが…」
この言葉が、どれぐらいおかしいかというと、
「サザエさんに出てくるタマっていう犬がさぁ」
ぐらいおかしいのです。
タマは猫。
犬と猫とは違うってのは、容易に理解してもらえると思います。
猫…いわゆるイエネコは、ネコ科Felis属Catus種。
対して犬は、イヌ科Canis属familiaris種。
科とか、属とか、種とかって何?
生物は、界門網目科属種という単位で分けられます。
難しそうですが、その生物が何なのか?を説明するには、非常にわかりやすい単位です。
たとえばネコは何かというと、
動物界 脊椎動物門 哺乳網 食肉目 ネコ科 ネコ属 イエネコ種
ややこしそうですが、簡単に説明すれば、
ネコって、動物ですか?植物ですか?
どうぶつー
脊椎動物ですか?外骨格ですか?軟体動物ですか?
せきついどうぶつー
哺乳類ですか?それとも鳥?魚?
ほにゅーるいー
犬とか牛とかクジラとか、そんなのの中だと、どれっぽい?
しいて言ったら犬とかっぽいー
それって犬っぽい?ネコっぽい?熊っぽい?
ネコっぽいー
結局、ネコ?
ネコー
つまり?
イエネコー
…ってカンジです。
つまり、界から始まって、種に至るまで、傘の骨のように細分化されていき、その種を特定していくわけです。
ネコとライオンは、科までが一緒で、ネコとイヌとは、目までが一緒。
我々人間とネコは、網までが一緒です。
そう考えれば、サボテンとアロエも、科が違うので、アロエをサボテンというのは、無理がある事が理解していただけるかと…
していただけるか…な?
さてさて、では、イエネコの学名を、
ネコ科Felis属Catus種…と書いたり、
ネコ科ネコ属イエネコ種…と書いたりしましたが、この違いは?
本来学名は、ラテン語を基準として書かれるもので、それによって、世界的に統一しているわけです。
だから、Felis属Catus種の方が正しい方に近く、ネコ属イエネコ種は、あえて日本人にわかりやすくするために、しいていったらといったカンジで、訳した言葉を使っただけで、これは学名表記としては、正しくありません。
「Felis属Catus種の方が正しい方に近く」と書いたのも、「属」や「種」をつけている段階で、正しい表記では無く、本来は、二名法によって表記されます。
二名法とは、リンネによって始められた形態で、最初に属名を、頭文字を大文字にし、続いて種小名をつける方法で、イタリック体で書かれるのが正式です。
ですから、イエネコの世界共通の正式な表記は、Felis catus となるわけです。
たまにテレビなんかで、たとえば「通称マンタと言われますが、学名はオニイトマキエイと言い…」みたいな表現を聞く事がありますが、これも大間違えで、マンタはmanta属の日本における総称、マンタと日本で一般的に呼ばれるオニイトマキエイの学名はManta birostris で、オニイトマキエイってのは、単なる和名なのです。
この学名ってのがわかると、この生き物とこの生き物って、進化の過程で、これぐらいの距離感なのだなぁ…と理解できて、非常に面白いです。
また、学名ってのは、あくまでもラテン語を基準にしているだけで、最初に見つけた人が命名するので、わりと面白いものが多かったりします。
たとえば、イチョウの学名は、Ginkgo biloba
イチョウは漢字で表記すると、銀杏。
銀杏を、「ギンキョウ」…「Ginkyo」と表記しようとして、間違ってyをgにしてしまったという、なんともローマ字に弱い日本人らしいミステイクを発見できたり。
トキの学名は、Nipponia nipponだというのは、有名なのでは。
花粉症の人を悩ます杉の学名は、Cryptomeria japonica
ショウジョウバエは、ものすごく種類が多いのですが、日本人の名前のついた物が、これまた多い。
日本人がかなり熱心に研究した事が伝わってきます。
Amiota watanabei とか、Drosophila kanekoi とか。
自分の家にいる、動植物の学名を調べ、その意味を調べてみると、案外面白いものですよ。
どうです?
ダメ?(笑
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ちょっと頭良くなったような気分になりました。
(気分だけな・・・)
オイラ、マロちゃんのことは「サボテンのマロ」とは書いてないよなあ・・・
携帯につきロクなコメント残せずすみません。
あらあらかしこ。
ほんと?
わかるかなぁ…ってドキドキしながら載せたんだよね。
たいして難しい話ではないのに、簡単に説明するのがすげー難しい。
>ちょっと頭良くなったような気分になりました。
あはは。
それは良かった。
学校で教わるよりはわかりやすくがモットーです。
>「サボテンのマロ」とは書いてないよなあ
たぶん、書いてたらツッコミ入れてるはずだから、大丈夫と思うけど。
いやはや、この記事にコメントはもらえないだろうと思っていたので、少し嬉しいです。
まだ(ネット上で)どこにも新年の挨拶まわりをしていないのですよ(^^;
あたしはこういうの専門なもんで、結構社員さんとかにも聞かれたりします。
けど、自分がわかってるから「何でわかんないの?」とか思っちゃう人だから、説明下手なんですよね。
SCUMさんの説明はわかりやすい。
確かにTVとか見てても「それ間違ってるよー、バカじゃないのー?」とか思っちゃいますよ。
あー、コレってあたしが性格悪いだけか*
学名も日本人の名前付いたものって多いですよね。
奥さんの名前を付けたってのもあるし。
けど、たまにセンス疑っちゃうようなのもありますよね。
和名とか特にそうですけど(笑)
本年もよろしくうんちゃらかんちゃら。
いやはや、hiroさんも見てくれるかもなぁ…と、ちょっと不安な気持ちマンテンで書いたんですよね。
大丈夫ですかね。
間違えとかないですかね(^^;
私、いかんせん独学だもんで…
本当は、上下亜の説明も入れようかと思ったのですけど、まぁ、別にそこまでいらないかなぁ…と、やめてみました。
>SCUMさんの説明はわかりやすい。
って、hiroさんが言ってくださるのなら、とりあえず一安心です。
>確かにTVとか見てても「それ間違ってるよー、バカじゃないのー?」
あはは。
私も思いますよ。
NHKなんかでそんなの出てくると、国営放送なのに適当な情報垂れ流しやがって!とか思ってしまいます。
>けど、たまにセンス疑っちゃうようなのもありますよね。
ひどいの、わりと多いですもんね。
だから逆に、可愛いのとか見つけると、得した気分になったりして。
>和名とか特にそうですけど(笑)
和名はね、そりゃもう。
1つの種にたくさんの和名をつけるのもやめてほしい。
結局、学名で呼ぶのが簡単になっちゃって、和名忘れたりして…(^^;
いまだに亜科とか亜属とかなると頭ごちゃごちゃしたりしますよ(亜種は平気)。
植物になると「変種」とか「品種」とか付けたりすることもあるしますますごちゃごちゃしちゃいますよ。
以前目録を見てておかしかったのは
「オオホソチビゴミムシ」
大きいのか小さいのかハッキリしてほしいです。
「コチビホソハネカクシ」
どんだけ小さいんよ??
「チビマルガムシ」、「マルチビガムシ」
ややこしいがな!!
虫の名前ってこんなの多いですよね。
マジでセンス疑っちゃうわ…(笑)
「~メクラガメ」っていうのもここ何年かで「~カスミカメ」に変更になったりとか。
「差別用語だ」みたいなことになって変更になったらしいですけど。
もー、1回つけたらソレでいいじゃん!!
…って言いたいですわ。
あー、こういう話題は燃えちゃうわ~(笑)
植物の場合だと、種がsp.
亜種がssp.
変種がvar.
品種がf.
園芸品種がcv.
交雑がhyb.
…ってカンジでしょうか。
私的には、好きなものに関しては、亜上下、結構重要だったりしています。
たとえばタランチュラはクモ目トタテグモ亜目オオツチグモ科。
クモ亜目に属さず、トタテグモ亜目に属している事が、これらの蜘蛛を説明するのに、非常に重要だったりするので。
>虫の名前ってこんなの多いですよね。
あはは。
虫は多いですよね。
研究がなされにくいから、コロコロ学名が変わるものが多いし。
すごい和名だったら、多肉植物は、じーさん達の趣味なので、むりやり漢字でつけたりするので、すごいの多いですよ。
「宇宙殿」echinocereus knippelianus
「黄金の花園」Echinopsis hyb.
「魔剣丸」Echinopsis leucantha
「千波万波(センパマンパ)」Stenocactus multicostatus f.
「恐竜丸」Gymnovalycium horridispinum
「混乱丸」Neoporteria villosa
「暗黒王」Neoporteria clavata
「大統領」Therocactus bicolor
「阿亜相界(アアソウカイ)」Pachypodium geayi
…キリがないです。
>もー、1回つけたらソレでいいじゃん!!
そうもいかないんでしょうね。
蜘蛛の一種で、偉い蜘蛛学者がつけた学名に、みんなそりゃないだろう…ってなって、その学者が死んだとたん、学名を変更した…なんて話もありますし。
ああ、なんか楽しい(笑
だいたい自然分布しているものを対象にしてますから、f.もあまり関係ないって言えば関係ないんですが(^^;
たまーに出てきます。
たまに植栽されてて放置されてしまったものとか出てきて、リストに名前が上がってるけど、図鑑には載ってないとかありますよ。
だいたい会社に園芸種の図鑑とかありませんからね~。
「植えたままほったからしにするなよ!」と言いたいです。
以前、前の会社に入ったばかりの時に、まだほとんど何も知識のない状態で鳥類調査に駆り出されたことがあって。
その時はホントに何もわからなくて鳥の図鑑を持っていったくらいです。
で、初めてみたソウシチョウを「何ていう鳥だろう?」と思って図鑑で調べたら載ってないし。
籠脱け鳥もだいたい載ってないんですよね~。
あー、そりゃそうですよね。
商業ルートに乗るものは、どうしてもちょっとの違いを売りにして、価値を高めるのに必死で、色々違う違う言いすぎなんですよねぇ…
>「植えたままほったからしにするなよ!」と言いたいです。
難しいでしょうね。
ミドリガメを飼えなくなって、近所の水場に捨てて、自然に帰したと満足するのが、普通ですから。
植物はとくに、勝手に広がりやすいですしね。
環境適応の強い物が、園芸種として商業ルートで大量生産販売されるわけですし。
>図鑑で調べたら載ってないし。
図鑑って万能ではないですよねぇ…
情報がどんどん古くなっていくし。
だから、同じような図鑑がどんどん増えちまう。
そんじょそこらの図鑑より、熱狂的マニアのサイトの方が詳しくて種類が多かったりして。
記事だけでなくコメント欄までおもしろい。
てか、熱し易い私は、学名に大変興味を持ってしまいました。
今まで完璧に無視してきましたが、これからはサボ・多肉の
学名も気にしていくことにします!!
和名がセンスなくて嫌いになりそうな多肉もありますから
和名は忘れて学名で呼ぶことにしようかな。
全然関係ない質問してもいいですか?
SCUMさんって何て読むのですか?
心の中で、「あっ!SCUMさんからコメントだ。」
って言うときに、『スカムさん?』『スキュームさん?』って1回ずつ言っています。
…読み仮名決めてないとかはないですよね!?
少しでもお役に立てたなら何よりです。
学名に慣れると、学名側からの見方になってしまって、今度は和名とかがあやふやになってきてしまいますよ(^^;
ん?エノプラの和名ってなんだっけ?
紅彩閣?覚えづらい~みたいな。
また、近縁のものが、不思議だったりして楽しめます。
ポインセチアも、紅彩閣を含むユーフォルビアなのねぇ、みたいな。
>SCUMさんって何て読むのですか?
スカムと読んで下さい。
英単語です。
灰汁だとか、そんな意味です。
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