しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「ウサギ狩り人」 ラーシュ・ケプレル

2021年11月26日 | 読書
「ウサギ狩り人」 ラーシュ・ケプレル  扶桑社ミステリー  上・下巻
Kaninjagaren      古賀紅美・訳

ストックホルムの高級住宅街。
売春婦の目の前で客が撃ち殺された。
公安警察警部サーガが緊急出動するが、犯人はシリアのテロ集団と関わりのある男の名前を口にして、現場を立ち去ったあとだった。
唯一の目撃者を尋問すると、犯人の頬には長い髪の束のようなものが垂れ、被害者に童謡をきかせ、ゆっくりと時間をかけて止めを刺したという。
事件後、4年の刑で服役中の元国家警察警部ヨーナの元に、意外な人物が訪れる。
ヨーナは国を揺るがす凶悪犯を追跡するために、復帰するが……。
    <文庫本上巻裏カバーより>

子ウサギが十羽登場する童謡をきかせ、血を流す被害者のそばで19分間とどまり、目撃者を生かしたまま立ち去るという明らかに奇妙な行動は、続く被害者にも共通した犯行の手口だった。
犯人は十人の殺害を計画していると見破ったヨーナは、サーガとともに連続殺人犯の動機に迫る。
浮かび上がってきた被害者の共通点からヨーナは、30年前に起こった、陰惨な事件の真実を探るが――。
巧みな伏線とスピード感、ダイナミックな展開と精緻なディテールの融合からなる、シリーズ最高傑作!
    <文庫本下巻裏カバーより>

「ヨーナ・リンナ警部」シリーズ第6弾。







ヨーナは前回の事件で刑罰を受けて服役中。
主人公だから、何か抜け道があってと思っていたら本当に収監されていた。
本当にそんな事になるのだと思いつつ、刑務所での生活も面白い。
どこにいてもスマートさは変わらないヨーナなのだ。
そんな服役中のヨーナに相応しい任務が出来て活躍が始まる。
上手く作ってあると感心するストーリー。
今回の事件は過去の悲惨な事件が発端の復讐劇。
ラビットハンターが何に復讐しようとしているのかはなかなか分からない。
ウサギの童謡との関係や19分間の謎も興味深かったのだが。
真相が分かると一気になにもかも明らかになる。
もう少し謎を引っ張っても良かったような気がするが。
そこからは、犯人側からの展開になるからか。
壮絶な物語。
復讐される側の気持ちも書かれている。
ローレンス。その事件は強要されたもので、自分もその後精神を病み犠牲者だと。
それが事実だとしても、やはり許されることではないだろう。加害者である事には変わりはない。
自分を中心に考えていると、そんな間違った思いを持つ事になるのだ。
物語を読んでいて、警察の権威も恐怖を覚える。
最初の被害者の家にいたソフィアの扱いが酷過ぎる。
サーガが拘束する時も、あんなに痛めつけなければならないのだろうか。
それほど、テロリストは何処にでも潜んでいるものなのか。
横暴なのは、アメリカの警察ばかりではないのだ。
そして、自分の役職を嵩に着て弱い立場の人に高圧的になるのは、日本人にもある。

ラストはまた『続く』の文字が見えた。
何が起こるのか、なるべく早く次作が読みたい。
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