しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「偽りの書簡」  R・リバース&S・ホフマン 

2017年11月22日 | 読書
「偽りの書簡」  R・リバース&S・ホフマン  創元推理文庫   
DON DE LENGUAS        宮﨑真紀・訳

1952年、独裁政権下のバルセロナ。
上流階級の未亡人が扼殺され、新人記者のアナが独占報道の担当に抜擢された。
警察は強盗殺人として早期解決させようとするが、納得できない彼女は被害者宅から押収された書類を調べ、恋文を発見する。
差出人がわからなかったが思わぬ援軍を得る。
はとこの文献学者ベアトリスは、文章の綴り方、言い回し、形容詞等からその手紙を書いた人物像を巧みに導き出し、驚くべき手がかりを見つけ出してみせた。
言語と文学をこよなく愛する文献学者と猪突猛進の新人記者、姉妹のようなふたりが織りなす傑作ミステリ!
    <文庫本1頁目より>








スペインの歴史は『風の影』で知る。
独裁政権での殺人は捜査も報道もやはり違う。
内戦を経て、排除される側いまわってしまった人たちの生活も良く分かる。
そんな中でも、自分で道を切り開こうとするアナ・マリーア・マルティ・ノゲーの行動力は楽しい。
しかし、がむしゃらに突っ走る訳にもいかず、そこは制約のある社会。
犯人の黒幕が分かったら、刑事のイシドロ・カストロが動き出すのかと思ったら。
単純に、そうはいかないのだ。
正義だけでは行動できない社会。
家族や自分の身を守ることも充分に考えなければならない。
そういう社会を見ると、自由がいかに大切な物か思い知らさせる。
ベアトリス・ノゲーの力は、甥のパブロ・ノゲーの時にも発揮される。
文献学者って、面白い。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「ブエノスアイレスに消えた... | トップ | 「相克の森」  熊谷達也  »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書」カテゴリの最新記事