しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「雪虫  刑事・鳴沢了」  堂場瞬一 

2013年07月17日 | 読書
「雪虫  刑事・鳴沢了」  堂場瞬一    中公文庫           

新潟県警捜査一課の刑事、鳴沢了。
鳴沢家は三代刑事で、祖父、浩次は「仏の鳴沢」、父、宗治は「捜一の鬼」と呼ばれていた。
了は子どもの頃から祖父とその仲間から、事件の話などを聞いて育った。
了は刑事になるために生まれたのではなく、刑事として生まれた、と思っていた。
しかし、宗治は了が刑事になることに反対だったようで、2人の間には溝があった。
湯沢でひとり暮らしの78歳の本間あさが殺され、魚沼署に捜査本部が出来る。
了も捜査に加わるが、魚沼署長は宗治だった。
本間あさが、戦後すぐの出来た『天啓会』の教祖だったという情報が入る。
50年前で、なかなか『天啓会』のことも分からなかったが、少しずつ関係者から話を聞くことが出来る。
そして、そこで殺人事件があったことを知る。
警察の書類も残っていない昔で、浩次に聞くが、覚えていないと言う。
関連を感じた了だが、宗治はそれを否定する発言をする。

鳴沢了シリーズ第1弾。






他のシリーズを先に少し読んで、何となくもっとハードボイルドな人物かと思っていた。
29歳という若さもあるのだろうが、真っ直ぐというか、張りつめた性格。
24時間刑事でいるという言葉通り、それが嫌な性格にもなっている。
相手の良い所より、悪い所に目が行くタイプ。
今回の事件は、鳴沢了がどういう人物なのかを、知らしめようと書かれた感じがする。
祖父や父、新米刑事の大西、久し振りにあった同級生の喜美恵との関係で、人となりが分かる。
疲れる人だ。
理想の刑事の姿が鳴沢了にはあるのだが。
革靴じゃないと駄目なのか。
合田雄一郎刑事はスニーカーだけどな。

事件は、どうして今頃なのだろうと思ってしまう。
無理やり作った事件のようだ。
復讐がすぐ殺人に結び付くのは、どういう人間だろう。
犯人の行動がいまひとつ心に落ちてこない。

高城賢吾や大友鉄と比べると、いまひとつだった。
まだ初期の作品だからかな。

舞台が新潟。
万代橋辺りの景色は、なんとなく分かる。
夜の灯りが川面に映るのがとても綺麗で、好きだ。
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