しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「ファントム」   スーザン・ケイ 

2012年09月02日 | 読書
「ファントム」   スーザン・ケイ     上・下巻    扶桑社ミステリー
 Phantom                       北條元子・訳

19世紀、フランス。夫を亡くしたマドレーヌが失意の中で産んだ長男エリックは、この世のものとは思えない恐ろしい容貌をしていた。
以来マドレーヌは我が子をどうしても愛することができず、仮面をかぶせて屋根裏に閉じ込める。
やがてエリックのずば抜けた頭脳は顕著になり、幼くして建築学を極めるとともに音楽の方面でも類いまれな才能を発揮。
だが八歳になったとき、自分がいると母にも危険がつきまとうと知ったエリックは、自ら家を飛び出した…。
あまりにも有名な〈怪人〉の生涯を、生い立ちから書き起こす感動作。
        <文庫本上巻裏カバーより>

世界的な手品師として暮らした後、三十代半ばになったエリックは憧れのパリに乗り込み、オペラ座の新築工事を任されることになった。 
工事は十数年に及んだが、地上の生活に疲れた彼はオペラ座の地下深くに秘密のすみかを作り上げ、ようやく安住の地を得る。
五十歳を前に体力も衰えると、〈オペラ座の怪人〉になることを思いつき、科学知識を駆使したトリックで人々を震え上がらせた。
が、そんなエリックを、新人歌手クリスティーヌとの運命の出会いが待ち受けていた。
オペラの歌詞に託して壮大なスケールで語る愛の物語。
        <文庫本下巻裏カバーより>






「オペラ座の怪人」のエリックの生涯を描いた物語。
「オペラ座の怪人」では、エリックはすでにオペラ座の幽霊として存在していたが、ペルシャ人の話から過去の様子も少し分かっていた。
その部分をはっきりと書き記したのがこの物語。
2つの物語を続けて読んだので、より良く分かった。
そして、この物語は、スタジオ・ライフの演劇で観ている。
原作に忠実で、読んでいてもその場面が浮かんで来る。
『PHANTOM 語られざりし物語』ではジョバンニまで演じられた。
続きは10月から『RHANTOM クリスティーヌのキス』で。
タイトルになった“クリスティーヌのキス”がいかにエリックに影響を与えた重要だったのかが、よく分かった。
10月が楽しみ。

物語の方は、エリックが主人公で、その心理や生き方がよく分かる。
ペルシャで何があり、謎のペルシャ人だったナーディルとの関係。
オペラ座の地下に住むようになった経緯や心理状態。
なぜクリスティーヌに惹かれたのかも。
美しいものを追い求めたエリック。
母、マドレーヌの存在の大きさを、改めて知る。
エリックやナーディルのことはよく分かった。
反対に、クリスティーヌのことはよく分からない人物だった。
だからか、最後のシャルルのことは、違和感がある。
そんな結末になるだろうか、あまりにもメロドラマ過ぎる気がする。
後、少々エリックがヒーロー過ぎるのも気になった。

これは、スーザン・ケイが作った物語。
ガストン・ルルーもエリックの生い立ちなどは細かく考えていたのだろうか。
こんな風に、これとはまた違った物語を考え出してもいいのだ。
スーザン・ケイの物語を受けてだが、自分だったら、エリックとマドレーヌを再会させてあげたい。

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