しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「生ける屍の死」 山口雅也  

2006年11月11日 | 読書
ニューイングランドの片田舎で、死者が相次いで蘇るという現象が発生する。
そんな中、墓の町と呼ばれるトゥームズヴィルのスマイル霊園の支配人スマイリーは死に面していた。
スマイリーの孫のグリンと、スマイリーの長男ジョンが再婚しようとしている相手イザベラの娘チェシャは共にパンクで、ピンクの霊柩車に乗って帰ってくる。
そのグリンがスマイリーがもらったチョコレートを食べて死亡する。
しかし、誰も知らないうちに蘇る。
グリンはそのことを、霊園の顧問医師、ハースにだけは打ち明け、死後腐敗を防ぐ為の防腐処置を施してもらう。
そして、自分の死因が毒殺と知ったグリン。
何故、もう直ぐ死ぬと分かっているスマイリーを殺す必要があったのか、グリンは死んだことを黙ったまま、犯人捜しを始める。


死んだ人が蘇る時代に殺人に意味はあるのか。
そんな投げかけもある物語だが、蘇っても肉体は段々腐敗していったら、嫌だろうな。
しかし、蘇りも時間は色々で、日本なら火葬はストップだろう。
そんな死についての話もたくさん織り込まれている物語は、始めはそんな死にまつわる理論があったりで、のんびり進むが、後半はたくさんの事件が起こり、加速度的に面白くなっていった。
蘇る時代に必要だった殺人の意味も、きちんと書かれている。
そんな、今までとちょっと違った推理が面白かった。
しかし、死体が蘇ることにあまりショックを受けていないような登場人物達。すんなりと現実を受け止められるものなのか。
これは、わりと狭い限定された場所での物語。
もっと広い世の中での事件だったら、もと大騒ぎになりそうな気がする。
出だしのエピソードが1番衝撃だった気がするから。
それは、殺された人が殺した人を見て逃げて行く。その後どうなるのだろう、と。

しかし、死者も結局また死んでいくのか、それとも意識だけはずっとこの世に残り、霊魂になって漂うのか。
死について考えると、きちんと成仏したいと思ってしまう。
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