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しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「海」  小川洋子 

2011年06月03日 | 読書
「海」  小川洋子      新潮文庫

7編からなる短編集。

「海」
恋人の家を訪ねた青年が、海からの風が吹いて初めて鳴る“鳴鱗琴”について、一晩彼女の弟と語り合う。

「風薫るウィーンの旅六日間」
45年前、日本で別れた恋人を訪ねて、ウィーンへ来た琴子。
初めての外国で不安そうな琴子に頼られて、一緒に養老院へ行く私。

「バタフライ和文タイプ事務所」
新人のタイピストは、3階倉庫に活字の管理人がいることを10日目に知る。
管理人とのやり取りが、密かな楽しみになる。

「銀色のかぎ針」
マリンライナーが動き出し、向かいに座った老婦人は、編みのもを始める。
それが、私の記憶を呼び覚ます。

「缶入りドロップ」
40年間、バスの運転手をして来た男。
今は幼稚園バス。

「ひよこトラック」
言葉を失った少女と孤独なドアマン。
ひよこを積んだトラックが通り過ぎた時、少女は目でひよこがいたと伝える。

「ガイド」
思い出に題名をつけるという老人と、観光ガイドの息子の少年の話。
“思い出を持たない人間はいない”と言う。





静かな風が吹いているような物語たち。
物語というより、心にある色々な思いを言葉で表したような。
人に対する、優しい気持ちが現われているのものが多い。
気持ち、心の中は色々な思いが入り混ざっているけれど、その中の綺麗なところを拾い出したような感じ。
何を見るか、何に感じるか。
それがその人を形作る。
優しさを感じることが出来る人は、やっぱり優しい。


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