しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「エトロフ発緊急電」 佐々木譲

2010年01月29日 | 読書
「エトロフ発緊急電」 佐々木譲     新潮文庫

1941年。
アメリカとの開戦に微妙な段階の日本には、情報を収集するスパイが配置されていた。
アメリカ海軍情報部は、日系人ケニー・サイトウに殺人の罪を見逃す条件でスパイに取り立て訓練をする。
日本語が達者なケニーは、日本人斉藤賢一郎として日本に乗り込む。
真珠湾奇襲作戦の情報を掴んだ情報部は、斉藤賢一郎をエトロフ島に向かわせる。

『ベルリン飛行指令』に続く、〈第二次大戦秘話3部作〉の2作目。



『ベルリン飛行指令』と同じ人物が登場、時間も進んでいくので、より面白く読めた。
〈第二次大戦秘話3部作〉と言うのは知らなかった。
『ベルリン』から読んで良かった。

登場人物がみんな個性があって、魅力的なのがいい。
個性もそうだが、人種も様々。
日本にとっては、世界との交流が活発になり始めた頃の2つの大戦だったのだ。
戦争がなければ、今は全く違う世の中になっていたのだろう。

スパイに関する面白さも充分にある。
追手をどう巻くのか、混乱させるのかなど、緊迫感も充分。
エトロフ島の物語の方も興味深い。
もう1人の主役、ロシアとの混血の岡谷ゆき、そしてクルリ人の宣造。
人種もことも考えさせられる。

この時代は面白いことなど何もなく、戦争がどれほど嫌なものか感じさせてくれる。
戦争の時代の様子もよく分かる。
『ベルリン』の時にもあったが、今回は南京大虐殺のことも物語の舞台として書かれている。
実はあまり南京大虐殺のことは読んだことがない。
実際、小説のテーマになっているのは、少ないのだろうか。

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