しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「麒麟の翼」  東野圭吾 

2011年09月19日 | 読書
「麒麟の翼」  東野圭吾       講談社

日本橋交番の脇を、おぼつかない足取りで男が通り過ぎる。
日本橋の中程にある、麒麟の像が置かれた装飾柱の台座にもたれかかり動かなくなる。
それを見ていた巡査が声を掛ける。
男の胸にはナイフが突き刺さっていた。
青柳武彦、55歳。建築部品メイカーの製造本部長だった。
それから2時間後、日本橋人形町にある浜町緑道という公園に潜んでいた男がいた。
パトロール警官が職務質問をしようとすると逃走し、トラックに跳ねられ昏睡状態になる。
青柳武彦の財布を所持していたことから、事件の容疑者となる。
男は、八島冬樹、26歳。職探し中だった。
2人の接点は何か。
加賀恭一郎が挑む。






なぜ、日本橋の麒麟の像まで歩いて来て死んだのか。
その謎がこの物語の柱。
その数ヶ月前からの行動も謎に満ちて、どんな秘密があったのか分かる過程は丁寧で面白い。
前回の『新参者』の舞台が、再び登場してくるのも嬉しい。
加賀刑事が担当すると言う事は、管轄だから当然なのだけど。
しかし、謎がひとつずつ分かり、最後はどんな物語が待っているのかと思ったら。
それが、何となくいまひとつ。
子から父へのバトンタッチ。
そういうこともあるかも知れないが、自分としてはしっくりしなかった。
父親がとる行動は、そこからでいいのだろうか。
例えば、子がすでにこの世にいなかったら、それもあったかも知れない。
しかし、しっかりと向かい合える状態ではあったのだ。
何故、自分の子からではなかったのだろうか。
それが、余計な波紋を広ろげてしまったのではないだろうか。

少年3人が犯した罪は、3人にはたいした事ではなかったのだろうか。
簡単に忘れてしまうほど。
悪意ではなく事故だと思うが、それならば余計に心を痛めると思う。
そこが1番の違和感なのかも知れない。

日本橋と、麒麟の像は、知っている。
初めて見た時、高速道路が邪魔だ思った。
美観も何もあったものではない。
誰もが思うだろうに、作った時は反対はなかったのだろうか。
強引に押し切ったのだろうか。
不思議だ。

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