しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「ガリレオの苦悩」 東野圭吾 

2009年03月25日 | 読書
「ガリレオの苦悩」 東野圭吾     文芸春秋

5編からなる短編集

第1章 落下る おちる
マンションのベランダからOLの江島千夏が落下して死亡する。
自殺と思われたが、内海薫刑事は女性の感覚から、事件性を疑う。
そして検死で、頭に殴打された痕跡が見つかる。
容疑者はその日部屋を訪れていた岡崎光也。しかし岡崎は落下の瞬間を外で目撃していたという。

第2章 操縦る あやつる
かつて帝都大学の助教授だった友永幸正。
教え子を招いていた夜、離れ屋で火災が起こり、友永の息子邦宏が死亡する。
しかし死因は火災によるものではなく、日本刀の様なもので刺されたからだと言う。
教え子のひとり湯川学は凶器について思い当たることがあった。

第3章 密室る とじる
湯川の大学時代の友人でペンション経営をする藤村伸一。
そのペンションで泊り客、夜に原口が崖から落ちて死亡する事件があった。
事故か自殺とされたが、藤村はその前に原口の部屋が密室状態になっていて、原口がいない事に気が付いていた。
藤村はその密室の謎を解いて欲しいと湯川に相談する。

第4章 指標す しめす
真瀬葉月は水晶の振り子を使ってダウジングを行なう。
母親の貴美子に殺人容疑が掛かると、葉月はダウジングで証拠となるものを見つける。

第5章 攪乱す みだす
『悪魔の手』と名乗るものから、人間には見えない悪魔の手を使って殺人を行なうという予告が、警察と湯川学准教授の元に届き、犯人は予告通りの殺人を行なう。
湯川に恨みを持つものと推測できたが、湯川には心当たりがなかった。



ガリレオ、湯川学が主人公の物語はテレビドラマですっかり有名。
テレビも面白く見ていたので今回読んでいると、福山雅治さんの顔が浮かぶ。
1章と2章が、テレビの『エピソードゼロ』の内容のものだったので、尚更だ。
始めに分かっている分、面白さはちょっと減ったかもしれない。
短編なので、謎解きがメインだから。
ということで、この中では5章が面白かった。
「科学者としては素晴らしい」という評判の湯川。
テレビでも物語の中でも、結構人間味があっていいと思うのだが「人間としては、置いといて」らしい。
今回の『苦悩』のタイトルは、事件に係わっているのが恩師や友人だから、ただ物理学的に謎を解けばいいというものではなかった。
繊細な心遣いをする人。
それが表れているのに、そんなことを書かれていた。

テレビで登場した内海薫刑事がテレビ向けの女性のキャラクターだと思っていた。
第1章の初出は「オール讀物」2006年9月号。
内海刑事も東野さんの生み出したキャラクターだったのだ。
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