しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「教場」  長岡弘樹 

2016年05月27日 | 読書
「教場」  長岡弘樹   小学館    

6か月の短期過程の警察学校。
初任科第98期短期過程。1学級37名の生徒は入学するまでの経験や年齢もまちまち。
学校の中で起こる問題を、臨時で担任教官になった風間公親が見つめる。

第1話 職質
宮坂定は大学生の時、自分を助けてくれた警察官に憧れて警察官を目指す。
そして、その憧れの警察官の息子平田和道と同期になる。
宮坂と平田は共に落ちこぼれと見られていた。
そんな時、担任の教官が病気になり、風間公親が担任になる。
風間は直ぐに宮坂が隠していたある事を見破る。

第2話 牢問
榎本しのぶは婚約者和馬を交通事故で亡くす。
撥ねた車をしのぶは目撃していた。
それで警察官になろうとした。

第3話 蟻穴
鳥羽暢照は白バイ隊員に憧れ目指していた。
そして、白バイ隊員から教えてもらい、動いているものの音を聞くと移動速度が分かった。
蟻が部屋に入り込んでいる事に気が付いた事から、稲辺隆と親友になる。
しかし、その稲辺を裏切る事を鳥羽はしてしまう。

第4話 調達
日下部准は32歳で元ボクサーだった。
日下部は陰で調達屋と呼ばれる樫村の手口を見つけ、それを突きつける。
樫村は黙っていてもらう見返りに、成績の点数を調達すると持ちかける。

第5話 異物
由良求久は、当番の仕事を組んでいる相手、安岡学に押し付けていた。
パトカーの乗務訓練の時、パトカーの中にスズメバチが入り込み由良はパニックになる。
それは1度スズメバチに刺されていたからだ。
由良はそれを安岡の仕返しだと思い込む。

第6話 背水
都築耀太は優秀な成績で卒業を迎えようとしていた。
が、その先の不安から体調不良を起こしていた。
風間は、それは良くある事だと言うが、警察官には度胸が欠かせない。
修羅場なり挫折をきっちり経験した者は成長する。
しかし、都築にはそれがないからあきらめろと言い、卒業までに納得させることを条件に出される。

エピローグ
風間は第百期短期過程の担任になる。










試験に受かった後、初任地に配属される前の短期研修という感じなのだろう。
6か月で、沢山の事を詰め込みで覚えて現場に出る。
現場に出てから、実践を積みながら警察官として成長していくということか。

こんな制度になっているのは知らなかった。
もっとじっくりと、基本を学んでいるのかと思っていた。
『篩』という言葉があったが、本当に警察官に向いているのか見極める為の場という事か。
確かに教育の場と言う感じはない。
過酷と言うか、人間不信になりそうな場所。
ただ、ここで上からの命令にはどんなに理不尽でも絶対服従を植え付けられる、と。
警察が変な組織になっているのが分かるような。
短期を言うからには、長期もあって、また違った学校があるのだろうか。
キャリアと呼ばれる人たちの警察学校は、大学か。

魔法使のような風間教官の存在と推理力が面白い。
面白がれる内容ではないことだが。
恐ろしいほどの慧眼。
しかし、こんなに優秀なら教官ではなく現場の刑事でいた方がいい。
それも何か理由があるのだろうか。
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