しましましっぽ

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「ぼくには数字が風景に見える」  ダニエル・タメット

2016年05月26日 | 読書
「ぼくには数字が風景に見える」  ダニエル・タメット  講談社   
Born on a Blue Day      古屋美登里・訳

ダニエル・タメットはサヴァン症候群とアスペルガー症候群を合わせ持つ、言語と数学の天才。
サヴァン症候群は記憶、計算、芸術などの領域において超人的な才能を発揮する。
ダニエルは円周率2万桁を暗唱し10か国語を自在に操る。
数字の羅列が美しい風景に見えると言う共感覚を持っている。
アスペルガー症候群は自閉症の近縁にある障害で、人の感情が分からず、コミュニケーションにハンディを持つ。
これは1979年1月31日水曜日に生まれた時から、2005年の現代までを綴った手記。




2005年に『ブレインマン』と言うドキュメンタリー番組が作られ、日本でも放送される。
自分は全く知らず、この本で初めてダニエルの事を知った。
子どもの頃からダニエルがどう感じて来たかや、家族がどう接して来たかなどよく分かる。
淡々と綴られる手記だが、ダニエル自身も家族も大変な思いをして来たのだろう。
泣き止まない子ども、周りの子と遊ばすいつも一人でいる子ども。
それはマイナスな面と考えがちで、みんなと一緒にいるのが本来の姿、と。
子どもの時は、自分がどうしたいのか、何が1番落ち着けるのかなど言葉ではなかなか説明が出来ない。
こんな風に振り返って言葉にしてもらえたら、これから同じような子どもたちと接する時に役に立つだろう。
色々な違いを個性として考えるのが大切なのだ。
ダニエルの両親はその事を大事にして来た。
子どもとちゃんと向き合い、どうしたらいいか考えて来たのだろう。

ダニエルもあるがままを受け入れるだけでなく、努力をして成長する。
他人の感情も、知らせてもらって理解する。
他人と生活して行く上で、何も問題もない。
問題を起こすとしたら、それを理解しないで、なんでも自分たちと同じと考えてしまう人たちなのだろう。
その他の障がいを持つ人たちとも、お互いを認め合い理解できると良い。
違うものに対して排除したり、嫌悪を覚える感情が問題なのだ。
多少そう言う気持ちがあったとしても、相手の気持ちを考えればいい。
思ったままを感情として表すのは、幼い子どもだけでいい。
大人なら、相手を思いやる気持ちを持たないと。
そして、相手を知る事によってその感情は変化するだろ。

共感覚の記述が面白かった。
新しい世界を感じた。
自分にはあまりその感覚はない。
声を聞いて、色を連想する人もいるけれど、自分にはない。
そのことを、寂しく感じた。


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