しましましっぽ

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「僕が死んだあの森」 ピエール・ルメートル 

2022年05月17日 | 読書
「僕が死んだあの森」 ピエール・ルメートル  文藝春秋 
TROIS JOURS ET UNE VIE     橘明美・訳

1999年12月末。
ボーヴァル村で、6歳のレミ・デスメットが行方不明になる。
近くには森や池もあり、村人はみんなで探すが見つからない。
行方が分からなくなった3日目、村を大嵐が襲い、村は甚大な被害を受けレミ捜索は後回しになってしまう。
その間、隣家の12歳の少年、アントワーヌ・クルタンは怯え、苦しんでいた。
アントワーヌだけがレミがどうなったか知っていた。
アントワーヌが森に行くと、良くレミも付いて来ていた。
その日、アントワーヌはどうしようもなく、落ち込み怒りの感情にとらわれていた。
その原因の一つは、怪我をしたデスメット家の犬、オデュッセウスをデスメット氏が撃ち殺した事だった。
アントワーヌにとってオデュッセウスは唯一の相棒だったから。
森で、作ったツリーハウスを破壊している時にレミは現れる。
アントワーヌはその怒りをレミに向けてしまい、結果レミは死んでしまう。
アントワーヌはレミを森の中の倒れた大きなブナのしたにある穴に投げ落して隠す。






アントワーヌが語る物語で、気持ちがとても良く分かる。
殺すつもりはなかったとは言え、6歳の子の死に自分にずべての責任がある事は分かっている。
1度は死のうとしたこともある。
アントワーヌは、周りの大人の性格も見抜いていて、それがより苦しめる事になっている。
良くない事は“見ない知らない”にしてしまう母親。
それは愛情でもあり、弱さでもある。
アントワーヌを診た医師も、何かを感じているが強くは言えない。
それは12歳の子どもだから。
しかし罪がばれなくても、結局アントワーヌはあの日レミと一緒にあの森で死んでしまったのだと分かる。
あの時アントワーヌが告白していたら、その後の人生はどうなったのだろうか。
もっと悲惨だっただろうか。
怖い話だった。
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