しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「石が流す血」  フランセス・ファイフィールド 

2013年01月24日 | 読書
「石が流す血」  フランセス・ファイフィールド   ランダムハウス講談社
 BLOOD FROM STONE           喜須海理子・訳

ホテルの6階のバルコニーから、51歳の勅選弁護士、マリアン・ジェーンが落下して死亡する。
少し前に、マリアンは誘拐、強姦、重傷害で告発されたリチャード(リック)・ボイドの弁護人として裁判を勝利していた。
証言台に立った被害者エンジェル・ジョイスを、反対尋問で厳しく責め立て、エンジェルは耐えきれずに自殺していた。
マリアンは亡くなる前に、友人の事務弁護士、トーマス・ノーブルに謎めいたメッセージを送っていた。
遺言状は見当たらず、あるはずの持ち物も消えていた。
マリアンの弟のフランクは借金があり、姉の保険と遺産をあてにしていた。
トーマスはマリアンの遺言執行者となり、死の真相をマリアンのメッセージにあった、若き法廷弁護士のピーター・フリエルに依頼する。
エンジェルの姉、31歳のヘンリエッタ(ヘン)は、事件のことで両親との関係が上手く行かなくなる。
エンジェルを助けようと、警察に訴え裁判を起こしたのがヘンだったからだ。
ヘンとピーターは、偶然の出会いで言葉を交わすようになる。
ピーターは裁判では分からなかった、ボイドの狡猾さをヘンから聞く。






他人を操ることの恐ろしさを感じる物語。
最近、現実社会でも、そんな事件が起こっているから。
他人を従わせる、貶める、それは悪人のリックも弁護士のマリアンも同じなのだ。
裁判記録を読んでいるだけで、心が壊されて行くのが分かるほど辛辣。
出だしから、リックが悪人ということは分かっていた。
それは、そのことを囁かれたマリアンもとうに分かっていたこと。
それでも、弁護人としての仕事だけでなく、被害者が嫌いだということで、あんな事が出来るのか。
マリアンを巡る物語でもあるのだが、マリアンの性格がよく分からない。
死の真相も明らかにされるのだが、なぜそうなったのか。
裁判の時の辛辣さと、自らの終わりと、違う気持ちを持った人物のように映る。

人の繋がりの難しさは、ヘンと両親の関係でも強く感じられる。
お互いに大切の思っている家族でも、上手く行かない時は、大きく崩壊する。

物語の中に出て来る、服飾の話題は面白かった。
興味がない世界で今後もあまり関係がないとは思うが、専門知識での話題は面白い。
実際に目で見ると、もっと分かり面白さ倍増だろう。
カーペットの布地で作ったバッグと言うのも見てみたい。


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