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しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「黒のトイフェル」 フランク・シェッツィング 

2010年02月22日 | 読書
「黒のトイフェル」 フランク・シェッツィング  上・下巻 ハヤカワ文庫NV
  TOD UND TEUFEL         北川和代・訳

1260年9月ドイツ、ケルン。
新たな大聖堂を建築中のこの都市で、大がかりな陰謀が密かに進められていた。
そんな折り、こそ泥のヤコプは大聖堂の足場から建築監督が黒い影に突き落とされるのを目撃した。
彼は友人のティルマンと娼婦のマリアにその事件を話すが、やがて二人は弩(いしゆみ)を使う不気味な殺し屋に殺害される。
ヤコプは自分の命が狙われていることを知り、身を潜めようとする。
だが殺し屋はついに彼に襲いかかった!
   <文庫本上巻 裏カバーより>

からくも殺し屋から逃れたヤコプは、以前窮地から救ってくれた娘リヒモディスを訪ねる。
彼女は伯父のヤスパーを紹介した。
ヤスパーは、とある教会の首席司祭を務める学者で、ヤコプの話を聞いて彼を助けることを約束する。
殺し屋の魔手が迫る中、博識のヤスパーはヤコプとともに事件の調査を進めていく。
そして、驚くべき陰謀が明らかに!
   <文庫本下巻 裏カバーより>




これがフランク・シェッツィングのデビュー作。
舞台は13世紀のドイツ、ケルン。
13世紀のドイツと言ってもピンと来ないが、十字軍の時代。
政治的にもケルン大司教やローマ教皇や皇帝や国王がいて、色々な対立がある。
町には貴族や手工業組合(ツンフト)に市参事会。
細かいことも書かれていて、覚えておかないと物語が分からなくなるかと心配したが、そんなことはなかった。
物語に関係あることは、ヤコプに教えるように、首席司祭のヤスパー・ローデンキルヒェンが語ってくれる。
ヤコプと一緒にその時に理解していけばいい。
ただ、ヤコプは頭が良く理解も早いけど。
人間の欲望や嫉妬が源になって起こった事件。
結社の長、ヨハン・オーヴァーシュトルツが本来の目的から外れていくことを嘆く。
それが人間の本来の姿なのだろうか。
自分の心の平安を求めることはいいが、必要以上に欲を出してしまう。
いまより自由な社会に生きていても、本質は変わらない。

始めは読み進むのに多少時間が掛かったが、サスペンスとして面白く楽しめた。
13世紀のケルンの町や社会の様子も分かる。


トイフェルはドイツ語で悪魔。


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