しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「ジュリエット」   アン・フォーティア

2014年08月27日 | 読書
「ジュリエット」   アン・フォーティア   角川書店    上・下巻
 Juliet        中谷ハルナ・訳

ジュリーとジャニスの双子の姉妹はイタリア生まれだったが、両親が相次いで亡くなり、伯母のローズに引き取られアメリカで暮らしていた。
ローズは、2人をイタリアに連れて行くことはなかった。
ジュリーが25歳の時、突然ローズが亡くなる。
ローズの財産は2人に平等に分けられると思っていたが、遺言にはすべてジャニスに残された。
唖然とするジュリーに、ローズの執事のウンベルトが、秘密の手紙を渡す。
それはローズから託されたもので、中には3つの物が入っていた。
それは、手紙とパスポートと鍵。
手紙には、ジュリーの母親、ダイアンがジュリーだけに残した物があるから、それを探しにイタリアのシエナに行くように書かれていた。
ダイアンはある研究をしていたと言う。
そして、ジュリーの本名はジュリエッタ・トロメイだと。
ジュリーは本名が書かれたパスポートも持って、シエナへ向かう。
やがて、ジュリーは『ロミオとジュリエット』のジュリエットの末裔だと知る。
そして、トロメイ家には呪いが掛けられていることも。








シェイクスピアが書いた『ロミオとジュリエット』には元になった物語があった。
それは、日記でその当時に実際にあった事が書かれた物だった。
舞台はヴェローナではなく、シエナ。
と言う事で、現代で母親が残した物から、宝物を探そうとするジュリーとその日記に書かれた1340年のシエナでの『ロミオとジュリエッタ』に話が同時進行していく。
現代の物語は、どうも落ち着きがないジュリーにあまり馴染めない。
妹のジャニスとの関係も、思い込みから最悪な関係になってしまったようだが。
2人のやり取りは居心地が悪い。
その分、1340年のシエナの物語が、もうひとつの『ロミオとジュリエット』版と言う感じでとても面白い。
ジュリエッタ・トロメイとロミオ・マレスコッティ。
日記を書いたのは、アンブロージョ・ロレンツェッティと言う実在したシエナの画家。
プブリコ宮殿(現シエナ市役所)のフレスコ壁画、『都市と田園における善政の効果』のは、ロミオとジュリエッタが描き込まれていると言う話も。
その頃の時代の様子も丁寧に書かれている。
ほとんどロマンチックな様相はないが、2人の強い気持ちが伝わって来る。
悲劇であることには変わりがない。
そして、2人が死んだ後にも、話は進んで行く。
シェイクスピアの物語のように、周りの人間が悔い改めて収まるような事はない。
ペストの流行もあり、益々悲惨さを増して行く。
ジュリエットの血筋は、双子の妹のジアノッツァから、ロミオの血筋はジュリエッタを見初める前に付き合った女から。
呪いの話も「さもありなん」と納得。
ロレンツォ修道士が係っている。


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