しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「堕天使は地獄へ飛ぶ」  マイクル・コリナー 

2017年05月19日 | 読書
「堕天使は地獄へ飛ぶ」  マイクル・コリナー    扶桑社    
  ANGELS FLIHT     古沢嘉通・訳

土曜日の夜中、エレノアからの電話を待っていたボッシュに事件の連絡が入る。
ダウンタウンにあるケーブルカー〈エンジェルズ・フライト〉の客車で2人の射殺体が見つかる。
1人は女性でもう1人は黒人の人権派弁護士ハワード・エライアス。
エライアスは20年近く、ロサンゼルス市警察に対する訴訟を数多く行っていた。
そして、月曜日にもロス市警察を相手とする訴訟が開始されることになっていた。
それは11歳の少女ステーシー・キンケイドの誘拐殺害事件の容疑者とされた男マイクル・ハリスの取り調べに対する物だった。
犯人は銃撃の腕があり、使われた9ミリ口径弾は警察官が使用している銃弾だった。
捜査には、その事件やエライアスの告訴を受けた事がないボッシュのチームに白羽の矢が当たる。

「ハリー・ボッシュ」シリーズ第6弾

今は「エンジェルズ・フライト」と改題されている。









警察の捜査や結果によって、暴動が起こるかも知れないと言う不安。
背景に1992年のロサンゼルス暴動やO・J・シンプソン事件がある。
人種問題や暴動の不安は、日本にいては実感出来ない事。
真実よりも、いかに穏やかな解決方法になるかを警察上部は気に病む。
ボッシュも真実だけを闇雲に追い求めている訳ではないが、気に掛ける相手が違う。
それぞれに守りたい物があると言う事。
結局世の中は、自分が守りたい物をどうやって守るか、どこまで守るかになるのかも。
それは組織の名誉や友人の名誉、自分自身の名誉、などなど。
社会の平安もあるのだろうが、何が平安かは人によって違うかも。
難しい世界だ、としみじみ思った。

物語は、弁護士殺し、少女の誘拐殺人事件などの解明や訴訟問題、ハリーとエレノアの事とやはり盛沢山。
しかし、幹も枝葉もどれもが興味深くテンポよく進んで行く。
これで解決かと思われると、また違う方向に引っ張られ、最後まで先が見えない。
たくさんの人が死んでしまうので後味は良くない。
それでも、これが現実なのだろうと思える。
人間同士、分かり合える日は来るのだろうか。

前の物語から1年。
エレノアと結婚して落ち着いた生活をしているかと思ったら。
また悩まされていた。


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