しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「天使の報酬」  真保裕一  

2013年09月06日 | 読書
「天使の報酬」  真保裕一        講談社

外務省邦人保護担当の黒田康作はサンフランシスコで、行方不明になっている女子大生、霜村瑠衣の調査に当たる。
瑠衣の父親、霜村元信は、元厚生労働省の官僚で、領事館に協力要請が来たからだ。
瑠衣のアパートを、SFPD(サンフランシスコ市警)が捜査するのに立ち合う。
容疑は窃盗だったが、テロ準備罪の疑いがあると言う。
元信は何かを隠している様子が伺える。
調べて行くと、瑠衣は日系ボリビア人、ロベルト・パチェコとの付き合いがあったことが分かる。
そして、ロベルトは日本人ジャーナリスト、武石忠実とトラブルを起こしていた。
その武石が日本で殺されて発見される。
武石の後を追うように、ロベルトが日本に入国していた。
瑠衣は偽造パスポートで、日本へ戻ったと思われた。
黒田は警視庁外事課と協力するため、日本へ向かう。







7年前の事件から始まった現在の事件。
色々な事が一気に解き明かされるのは、面白かった。
ただ、色々と落ち着かない気持ちにさせられる事も多い内容。
捜査の権限がない外交官が日本に来て、警察と牽制仕合いながら捜査する。
自分が探り出したことは、すでに警察も掴んでいることが多い。
外国でなら、外交官の力が必要なのは分かるが、日本では無理がある気がする。
もっと、協力すればいいのに。
単純に、なぜ協力して出来ないのか。
同じ警視庁でも、そう。
手柄をたてようとか、責任が掛からないようにしようとか、そんなことばかりに頭を使っているのか。
何が本筋なのかを忘れている。
親の馬鹿さ加減にもあきれる。
普通はもっとましだろう、と思いたいが。
そして、政界、財界の大物は一般市民とは違うという考え方。
どれほどの事が、一般市民に隠されているのだろう。
どれほどの人が、一般市民とは違う優遇をされているのだろう。
守秘義務の使い方も間違っている。
自分達の利益になる為、自分達が損失しない為のものではないだろうに。

民間の会社ではなく、税金を使っている公の組織が、自分の利益ばかり考えているとは。
こんな社会なのだ。

だから、物語は面白いがイライラしてしまう。
こういう題材も多いという事は、あながち間違いではないのだろう。

  
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