しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「深夜特別放送」  ジョン・ダニング 

2013年09月07日 | 読書
「深夜特別放送」  ジョン・ダニング       上・下巻   ハヤカワ・ミステリ文庫
 TWO O’CLOCK,EASTERN WARTIME      三川基好・訳

1942年、アメリカ
作家志望のジャック・デュラニーはボクシングのスパーリングで、左耳を負傷して聞こえない為に徴兵を免除されていた。
幼なじみで親友のトム・ルーニーは、パール・ハーバーで戦死していた。
トムの恋人ホリー・カーナハンとは、お互いに意識し合っていた。
しかし、トムが死んだからこそ気持ちを打ち明けることは出来なかった。
ジャックは、競馬場で働いていたが、そこでマーティ・ケンダルと親しくなる。
ケンダルは失業中にラジオ俳優だと言う。
喧嘩で留置場に入れられたジャックに、ケンダルが一通の手紙が来たことを知らせる。
それは、ホリーからで、ホリーの父親から預かった物を送って欲しいという物だった。
ジャックはホリーの父親と気が合い、仲が良かったが、何かを預かったことはなかった。
実はケンダルも、その何かをジャックから取り戻そうと近付いたことを打ち明ける。
そしてその日、ケンダルは、アイルランド野郎に痛めつけられていた。
ジャックは労働キャンプに行って、そこから脱獄することを計画しケンダルにも協力を求める。
無事脱獄に成功して、ホリーの家を訪ねる。
隣人から、ホリーはハートフォードが訪ねた翌日に居なくなったと聞く。
そして、誰もいない荒らされた部屋で見たのは、ケンダルの死体だった。
ケンダルの持っていた運転免許証の住所ははニュージャージー州レジナビーチ。
ジャックはレジナビーチへ向かい、そこでハーフォードのラジオ局に行きつく。
ジャックはそこで、ジョーダン・テン・エイクと名乗り、働き始める。







ラジオの世界と、殺人の犯人捜し、この2つが柱にあるのだが。
ラジオの、生放送の緊張感や熱気は伝わって来て楽しめた。
デュラニーが手掛ける、戦争や収容所のドラマも興味深かった。
このラジオの事だけでも、充分に物語になる。
殺人の方は、今一つ押しやられている印象。
登場人物も多く、誰が誰だか段々分からなくなって来た。
犯人はこの人、となった時、誰の事だろうと分からなかったらどうしようと思ったが。
まあ、誰がなっても大差なかったかも知れない。
犯人が誰かよりも、その動機が1番の問題だった。
ジャックはそれを炙り出す為に、大事な放送を使うのだが。
その事に葛藤はなかったのだろうか。

前半はなんとなくだらだらと進み、後半は一応面白くなるが。
いまひとつテンポが悪いと言うか、だらだら感が拭えない。
それぞれの役割がはっきりした今再読すれば、もっと面白いかも知れない。
自分は、1度ではこの物語に付いて行けていなかった。
ぱらぱら振り返りながら粗筋や感想を書いていて、そう思う。

タイトルは、「午前2時、東部戦時時間」、東部戦時時間はサマータイム。
これが暗号になっていた。
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