しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「夜が来ると」 フィオナ・マクファーレン

2020年03月23日 | 読書
「夜が来ると」 フィオナ・マクファーレン  早川書房   
 THE NIGHT GUEST       北田絵里子・訳

オーストラリアのシドニーの郊外、サウス・コートの海辺の家。
75歳のルース・フィールドは5年前に夫を亡くし、1人で暮らしていた。
2人の息子、ジェフリーとフィリップは家庭と仕事を持ち、離れてた所にいた。
ある朝、4時に目を覚ますと、家の中に“トラ”が居ると感じる。
トラは鋭い呼吸音を立てながら家の中を動き、何か食べている音も。
ルースはジェフリーに電話を掛けるが、まるで信じていない疑う口調に、何でもないと電話を切ってしまう。
もう1度眠り起きた時、家は何ごともなかったように静かだった。
同じ日、自治体から派遣されたとヘルパーだと言う40代前半の女性が訪ねて来る。
フリーダ・ヤングと名乗り、ルースの元に通い世話をし始める。
ルースにはフリーダの存在が戸惑いでもあり、頼もしくもあった。







トラは何かの象徴なのだと思った。
不安か死に関する何か、か。
同じ日に現れた、自称ヘルパーは最初から胡散臭く、何故こんな人を家に入れるのかが不思議。
それはルースの寂しさなのか。
しかしルースは75歳より上に感じられる。
80代後半か90代くらいに。
夫に死なれ、自分の望んでいなかった場所での1人暮らし。
自覚しなくても、今までの暮らしに疲れを感じていたという事なのか。
自分自身に不確かさを感じたのは、他人に指摘されたから。
それを感じなければ、それはそれで済むものなのではないだろうか。
フリーダの存在は今までの生活に変化を与える刺激になる。
きっと、フリーダの嘘も分かっていたのだろう。
奇妙な緊迫感のある、2人の関係を受け入れたルース。
でも、自分だったらやはり嫌だと思う。

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