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しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「雪の断章」  佐々木丸美 

2016年09月14日 | 読書
「雪の断章」  佐々木丸美   創元推理文庫    

北海道、札幌。
生後2か月から、孤児院のあすなろ園で暮らす倉折飛鳥。
5歳の時、大通り公園で迷子になり滝杷祐也に助けられる。
6歳の小学1年の時、東邦産業という大きな会社の重役の本岡家に引き取られる。
そこでは、学校に居る時以外はお手伝いさんと一緒に働き詰めだった。
本岡家には飛鳥と同い年で同じ学校に通う奈津子がいた。
奈津子は家でも学校でも飛鳥を苛めるが、それに屈することはなかった。
しかし、7歳の時、理不尽さに我慢できなくなり家を飛び出す。
雪の大通り公園のベンチに座っていると、そこを通りかかった滝杷祐也に再会する。
本岡家には帰らないと言う飛鳥の決意を知った祐也は、飛鳥を引き取り育てる事にする。
祐也の親友、近端史郎や、家政婦のトキ、アパートの管理人のおじさん、アパートの隣人、厚子などが飛鳥に係わって行く。
特に、史郎から聞いた「森は生きている」の物語は、飛鳥の心の拠り所になる。
飛鳥はマツユキ草を探す少女で、祐也は4月の精だった。








殺人事件も起こるが、これは文学作品なのか。
成長して行く飛鳥の考え方や思いを丁寧に描いて行く。
札幌の雪の様子も、詩的に綺麗に描かれていて、ロマンチックな要素も。
飛鳥は、小さい時から冷静に自分を見詰めている。
なぜそんな感情になるのかも分析して、自分の中で整理している。
自分をしっかり持っているので、蔑まれ苛められても、心が折れる事はない。
思春期になり、感情的な飛鳥の心はかなり複雑だ。
心なんて、自分でもコントロール出来ないものなのだから、当然ともいえるだろう。
その気持ちを言葉にして、周りの大人たちもきちんと受け止め会話して行く。
親友の順子との会話も深みがあるが。
実際、今この様な会話をしているたちはいるのだろうか。
自分の気持ちを分析して、それを言葉にするのは、結構難しい。
ただ、そんな飛鳥に共感出来るかと言えば、そうでもないのだが。

舞台は現代なのだが、これは違和感。
孤児院から、養女ではなく引き取って働かせるなどと言う事は有りうるのだろうか。
時代錯誤な感じ。
明治や大正の頃ならあったのだろうか。
殺人事件は取って付けた感じ。
感情の起伏をより出す為のものだろうか。
殺人事件が同じアパートで、しかも知り合いが殺されたと言うのに。
その後は時々刑事が来るだけで、何事もなかったかの様に生活している。
飛鳥が奈津子にこれから負の事が起こるって言うが、姉が殺されているは負ではないのだろうか。
刑法についての飛鳥の意見もあるが、それで殺人が許されるとも思わない。
結局自分はこの物語の世界には馴染めなかった。

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