しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「あした天気にしておくれ」 岡嶋二人  

2006年07月05日 | 読書
北海道、日高。3億2千万円の明け二歳馬のセシアが南雲牧場から、鞍峰牧場に輸送されるさいに骨折する。
南雲牧場で小火騒ぎがあり、セシアを心配した馬主の鞍峰が自分の牧場に移すと決めたのだった。
骨折の非は鞍峰側にあった。
セシアは4人が共同馬主になっていて、このままだとすべての責任と損害賠償を鞍峰が負う事になる。
それを避ける為、鞍峰の片腕となって働いている、私(朝倉)は犯罪と知りながら、この事故をなかった事にする為、獣医の望月や鞍峰牧場に働く人達と共謀して、工作を始める。
セシアが誘拐された事にして身代金要求の手紙を出す。
しかし、自分達が関与していない誘拐の痕跡が見つかる。何者かに計画が漏れているのか・・・・。


これが事実上の岡嶋二人の処女作だそうだ。
江戸川乱歩賞の最終選考で、メイン・トリックが他の作品の先例があったとの事で、受賞しなかったので、出版は後になったらしい。
で、メイン・トリックはどれ?と思っている自分は・・・・誘拐の方?身代金受け渡しの方?
でも、とても楽しく読めたのでいいか。
自分は誘拐にまつわるトリックが面白かった。人間、考える事はみな同じって事。
トリックは最後まで分からなかったし、意外だった。
身代金受け渡しの方法も、なるほどと納得。でも、これは現在、実行不可能だそうだ。


悪が勝つのは嫌いなので、犯人は最後には捕まるか、何らかの報いを受けて欲しいと思っているのだが、この物語は、ラストの2行が、なければ・・・別のものになっていたら、と思ってしまった。

一人称で書かれた物語。「私」の心の葛藤や驚き、戸惑いが自分のことの様に感じて、かなり感情移入していた。
タイトルは、「私」の心情を表したものなのかな。
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