しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「劫尽童女」 恩田陸  

2007年03月26日 | 読書
「劫尽童女(こうじんどうじょ)」
『ZOO』という組織の「ハンドラー」と呼ばれる男がシェパード犬のアレキサンダーと供に長野の避暑地にやって来た。
『ZOO』を裏切り、姿を隠していた伊勢崎博士と息子が、彼の名義の別荘に堂々と戻っているという情報が入って来たからだ。
ハンドラーは仲間と、その別荘を見張りながら近づく手段を伺っていた。
ちょうど別荘の管理人が近くに住んでいて、その管理人のところにいる少女、ハルと仲良くなる。
ハルは伊勢崎博士の家に食事を届けていた。


エスパーの登場する物語。
アニメのような戦いのストーリーと思ったが、最後は少し変わっていた。
自分の存在の意味を探す物語。
ラスト近くに、カンボジアで起こる奇跡がよかった。本当にこんなことが起こるといいのに。
科学の力も人間の力もどう使うかが大切。
しかし、人間はパンドラの箱を開けてしまった生き物なんだと実感させられる。

各章のタイトルが、すべて、仏教関係の言葉だった。
意味が分からなかったので、読み終わってから調べた。
この物語を表していると思う。
「化現」神仏が姿を変えて、この世に現れること。
「化縁」仏、菩薩が衆生(多くの生き物)を教化する因縁。教化をうけるべき衆生の側の機縁。
「化色」仏、菩薩が神通力で種々に変する姿。
「化生」仏教で母胎や卵からでなく、何かの形をとって現れること。

ラストをどう理解していいのだろうとよく分からなかったが、このタイトルからなんとなく理解出来た、気になっているのだが。

そして、「劫尽火(こうじんか)」。世界が崩壊する時に、世界を焼き尽くす炎のこと。
悪いことをすると、地獄の劫火で焼かれることも劫尽火ともいう。
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