しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「アノニマス・コール」  薬丸岳 

2016年02月06日 | 読書
「アノニマス・コール」  薬丸岳  角川書店   

朝倉真志は3年前、ある事で警察を辞め、妻子とも別れる。
その小学5年の娘梓が誘拐される。
朝倉の携帯の番号を知らない筈の梓から電話が掛かった事で、誘拐を知る。
犯人は、朝倉や別れた妻奈緒美の生活状況の事にも詳しく知っているようだった。
警察に不信感を持つ朝倉は、警察には知らせず自分で犯人を捕まえようとする。
最初の身代金受け渡しの後、犯人の本当の要求が分かる。
それは朝倉が3年前に警察を辞める事になった事件に係っていた。
横浜市内で7人を車で撥ね飛ばして死なせ、自らも事故死した25歳の新井俊彦について。








誘拐事件と3年前に起きた7人死者を出した交通事故。
警察という組織を信じられない元警察官が挑む戦い。
緊迫感や迫力もあり、一気に読ませる。
1番印象に残るのは、警察をいう組織がいかに身内を守るかと言う事。
最近はこういうのが本当に多いが、警察関係者はどう思うのだろう。
多かれ少なかれ、ある事なので仕方ないと思うのか。
犯人側にもっと仲間がいるのかと思ったが。
始めの奈緒美の勤務体制などはどうやって知ったのだろう。
監視カメラを仕掛けたり、その見張りにも人数が要りそうだが。
事件の発端の「新井は警察に殺された」と強く思う程の確信がどこから出たのかも疑問。
派手な伏線がはっきりしいまま終わると物足りなさを感じる。
そして、誘拐というものにも疑問。これは重罪。
被害を1番受けるのは何の落ち度もない子どもだ。
もっと他の方法がなかったのだろうか。
朝倉なら真実を話して訴えれば協力してくれそうな気がするが。
ラストは爽やかな終わり方をしているように書いてあるが、全然爽やかな事はない。
救われない人たちが沢山登場して、虚しいだけ。

それにしても、身代金の受け渡しはだいたいが時間ギリギリだ。
電車が遅れたり時間通りは以外と行かない物。
犯人だって金を手に入れなければ困るだろうに、そう簡単に打ち切りは出来ない。
そう考えると、乗り物で次々と移動させるのは得策ではない気もする。
今回は、2つの取引の合体だったから、必要だったのか。
すっきりしない事が幾つかあった。


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