しましましっぽ

読んだ本の簡単な粗筋と感想のブログです。

「数えずの井戸」 京極夏彦 

2011年04月09日 | 読書
「数えずの井戸」 京極夏彦    中央公論新社

番町青山家屋敷跡通称皿屋敷に怪事が起きるという評判が巷を賑わしている。
当主の青山播磨が惨死、その時に大勢の者が切り殺される。
残る者がいないため、真相は分からなかった。
そして、庭にある井戸より亡魂が出て、数を数えるという。
その亡魂は、若く美しい腰元の菊。





番町皿屋敷のお菊の物語。
登場人物みんなが、心に満たされないものを抱えている。
みんなが自分の心と向かい合い、真剣に考え込む。
自分とは何者なのかを突き詰めるように。
結論が出る思考ではないので、それが頭の中をぐるぐる回る。
そのぐるぐる回りが、鬱陶しい。何だか巻き込まれそうで苦手だ。
ぐるぐる回りで、物語はなかなか進まない。
物語というより、そういう雰囲気が大切なのかも知れない。
それでも、少しずつ最後のシーンに近付く。
どうしてそうなったのかが、興味があったのだが、肩透かし。
はっきりさせない所に意味があったのかも知れないが。
すべては、井戸にある虚無のせい、とか。
しかしこの展開で来たのなら、はっきりと何があったか知りたかった。
不自然な展開もあるし。
惨劇を大きくしたのに、その詳細が分からないのは少々不満。

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