里紀 in Crossing Field City!

~遠く、北アルプスとお城の街を離れて~

エンレイソウ(ユリ科)

2009年04月04日 23時18分15秒 | 上高地の花々-あ
学名は:Trillium smallii
Trillium:エンレイソウ属。
※ラテン語の treis (三)に由来する語。各部が、殊(こと)に葉が三数からなるため。
smallii:北米の分類学者J.K.スモール(1869~1938)の

漢字で書くと:延齢草
中国で『延齢草根』という名前の胃腸薬として利用されていることに因んでいるとされるが、
日本では有毒として、知る人ぞ知る植物なのです。
艶やかで柔らかい葉は一見美味しそうに見えますが、食べると激しい下痢や嘔吐に見舞われ、
血圧低下、心臓衰弱、ひどい時はショックで死を招くとも云われているので、要注意です。

上高地で咲く時期:5月上旬~下旬
(トップの写真の撮影日:2006.5.21)


芽吹き(撮影日:2008.5.1)

※この花を初めて見て、忘れられないのは大きな3枚の葉ですが、その芽吹きの時です。
よく見ると、3枚の葉をマントのように巻いていて、3つの先端が見えます。
地表に出て初めて葉の巻きが緩くなるのでしょうが、それにしても固い地面を葉のままで
突き破って出て来るのですから、相当な葉の強さだなぁと感心します。

蕾(撮影日:2008.5.1)

※葉が開くと、こんなに可愛い蕾が開花の時を待っています。
葉が開く途中からでも見えて来るのですが、それはそれは小さくて可愛いのです。
葉が大きいので、蕾の小ささが際立ちます。

蕾(撮影日:2007.6.27)

※標高が違うところで見つけました。 同じ蕾でも場所によっては約2ヶ月違います。
西穂山荘から少し上高地側に下りた辺りで見つけた蕾です。 開き始めたところです。

花(撮影日:2008.5.6)

※緑がかっている花です。 初めは緑で次第にエンジ色になるのかと思っていたら、
蕾の写真でも分かるように、最初から濃いエンジ色の花もあることを知って、
花それぞれなんだなぁとまたまた感心したのでした。

花(撮影日:2007.6.28)

※これも西穂山荘から少し上高地側の辺りで咲いていたのを撮ったものです。
この花の特徴は、『3』です。(云わずと知れた!ですが…)
葉しかり、花(外花被と云って正確には花ではないのですが)しかり、そして、よくよく見ると
雄しべが6本だったり、雌しべの先が3つに分かれていたり…。
特に、雌しべの先が3つに分かれているのに気がついた時は、自然の妙に絶句したことを
覚えています。

花(撮影日:2007.6.27)

※花が終わりに近づいて来たようです。 花のように見える外花披が反っくり返って来ました。
この株はまだ小さいのですが、これからどんどん雌しべの子房が膨らんで来ます。

実(撮影日:2007.7.19)

※この株が『シロバナエンレイソウ』でなく、『エンレイソウ』の実であると云い切れる確証は
ないのですが…。
緑のまま枯れるものもあれば、これくらい黒くなるものまで、いろいろです。
これも草それぞれなのかもしれませんね。

アケボノソウ(リンドウ科)

2009年04月03日 23時19分51秒 | 上高地の花々-あ
学名は:Swertia bimaculata
Swertia:センブリ属。
※1552年に生まれたオランダの植物学者Emanuel Swertに因む。
bimaculata:<bimaculatus=二斑点ある

漢字で書くと:曙草
花は星型で、花びらには特徴的な紫色の斑点と学名にもある黄緑色の2つの大きな斑点が、
夜明けの空に輝く星に例えられて名付けられたようです。
この黄緑色の2つの斑点ですが、蜜腺です。
虫が蜜を吸いに花びらに来ると、雄しべの花粉が体中に付いてしまう仕組みです。
それにしてもこの斑点、一度見たら忘れられなくなりますよね。
●は1つでも、3つでも良かったはずなのに、ちょうど並んで2つ。 そして紫の小さな点々。
この自然のデザイン力に脱帽です!

上高地で咲く時期:9月上旬~中旬
(トップの写真の撮影日:2008.9.9)


蕾(撮影日:2008.9.9)

※花が咲いている写真なんですが、この写真には固い蕾から開き始めた蕾まで
いろいろな段階の蕾が写っています。
昼前に撮った写真ですが、ゆっくり開いていく過程がよくわかるので、お気に入りの1枚です。

花(撮影日:2008.9.16)

※星型の花だと思っていたのですが、この写真の花の花弁は4枚。
珍しいのか、普通にあるのか(きっとこっちかな…)、それはわかりませんが、
4枚の花弁でも、独特の花びらで、花から受ける印象は変わりません。

群生(撮影日:2008.9.16)

※『群生』と種分けしましたが、1本の茎から枝分かれした草姿です。
残念なことに、花の盛りは過ぎていて、萼の内側からは実が出始めています。
この近くにはたくさんのアケボノソウが咲いていて、とても素敵な場所なのですが、
花の盛りにはさぞ綺麗な花々を見ることが出来ることでしょう。

実(撮影日:2008.9.16)

※上の『群生』で使用した写真をアップにしたものです。
もう特徴のある花びらを持つ美しい姿はなく、実を覆っている萼が、
ここに花が咲いていたことをわずかに知らせてくれています。

ウスバサイシン(ウマノスズクサ科)

2008年05月14日 21時55分59秒 | 上高地の花々-あ
学名は:Asarum sieboldii
Asarum:カンアオイ属。
※ギリシャ古語asaronが語源ですが、出所は不詳です。
一説には花が半ば地下に埋もれて咲くことから、a(無)+saroein(装飾)とも云い、
またasaron(枝を打たぬ)で根茎が分岐しないことから来たとも云われています。
Sieboldii:<Sieboldianus=日本植物の研究者シーボルトの

漢字で書くと:薄葉細辛
同じ仲間のカンアオイなどに比べて、葉の厚さが薄いこと、薬用とされる根が細く、
味わうと辛いことから名づけられています。
生薬の細辛(さいしん)は、ウスバサイシンの全草または根茎と根を乾燥させたものです。
ウスバサイシンはカンアオイと違って冬には落葉します。
また、ウスバサイシンやカンアオイは、蝶が好んで食べる食草です。
カンアオイがギフチョウの食草なら、ウスバサイシンはヒメギフチョウの食草です。

上高地で咲く時期:5月上旬~6月上旬
(トップの写真の撮影日:2007.5.21)


芽吹き(撮影日:2008.5.6)

※落ち葉が敷き詰められた柔らかい地面を割って、芽吹きです。
小さく折り畳まれた葉を、これから上に持ち上げるところです。
芽吹きの時の植物の力強さにいつも感心します。

蕾(撮影日:2008.5.6)

※大きくなり始めた葉に守られて、蕾が顔を出しています。
この日は陽射しが強く、まぶしくて目が開けられない!って感じに見えました。

蕾(撮影日:2007.5.24)

※葉の茎も伸び、蕾が開き始めました。 もうすぐ開花です。
何だかカラスの赤ちゃんが、あくびをしているような感じですよね。

花(撮影日:2006.6.1)

※初めてこの花を見た時の驚きを忘れられません。
こんなこげ茶色の花があるんだなぁとびっくりしてしまい、写真を撮りたくりました。
この場所はたくさん固まって咲いていますが、上高地ではそこここでよく見ることが出来ます。
つぼ形をしていて3枚の3角形の裂片ががく片です。 花弁は退化してほとんど見られません。


※まだ実が生っているのを見たことはありませんので、写真はありません。
果実が熟し、その後、種は壺からこぼれ落ちるようです。
また『ウスバサイシン』の種には、スミレやカタクリのようにアリが好む付属体
(スミレにはエライオソームと云う付属体が知られています)がついていて、
アリによって遠くに運ばれるようです。

アズマヤマアザミ(キク科)

2008年03月08日 23時55分36秒 | 上高地の花々-あ
学名は:Cirsium microspicatum Nakai
Cirsium:アザミ属。
※ギリシャでの古名cirsionから来ています。
静脈腫(じょうみゃくしゅ=cirsos)に、Carduus pycnocephalus(ヒレアザミ属の種)が
優れた薬効を持ったため一旦はその名前となりますが、後にアザミの葉に概形が似るために
転用された、と云うことです。
microspicatum:<microspicatus=穂が小形の
Nakai:Nakaii=植物分類学者 中井猛之進(なかいたけのしん)の
※昭和2年、国立公園選定の準備調査中に、上高地の河原で日本で初めて『化粧柳』を発見。

漢字で書くと:東山薊
※四国・九州に分布するアザミに『ヤマアザミ』がありますが、『アズマヤマアザミ』は、
関東地方などの東日本を中心に分布していて『ヤマアザミ』に似ていることから、
『東(あずま)』の名がついたものと云われています。

上高地で咲く時期:8月中旬~9月上旬
(トップの写真の撮影日:2006.8.16)


芽吹き(撮影日:2005.7.15)

※アザミは、早春の頃から芽を出して自分の居場所を確保している種です。
どんどん背を伸ばして、ようやく蕾をつけています。 1~1.5mになります。

蕾(撮影日:2007.8.18)

※茎の先端や途中にたくさんの蕾をつけて、風に吹かれてゆっくりゆらゆら揺れています。

花(撮影日:2007.8.20)

※ここは日中そんなに陽のあたらない場所なのですが、この花はしっかり開いています。
ここまで開き切るのは、結構珍しいような気がします。

花(撮影日:2007.8.24)

※渡りをする蝶として有名な『アサギマダラ』です。 8月中旬上高地でもよく見られます。
『アズマヤマアザミ』の蜜があまりにも美味しいのか、この時の『アサギマダラ』は
カメラを近づけても全く逃げる素振りを見せませんでした。シャッターチャンスを狙って
5分近くは撮り続けていたと思います。それも10cm位まで近づいて…。
大好きな蝶です。 それはそれは幸せな時間でした。


アオチドリ(ラン科)

2008年03月05日 23時28分25秒 | 上高地の花々-あ
学名は:Coeloglossum viride var. bracteatum
Coeloglossum:アオチドリ属。
※ギリシャ語の coelos(空洞)+glossa(舌)が語源で、
唇弁(しんべん)の基部に凹みがあるためと云われています。
viride:<virid~=緑(接頭辞が語源になっています。)
bracteatum:<bracteatus=包葉(ほうよう)のある

漢字で書くと:青千鳥
花の色が緑色で、形を千鳥に喩えたことに因ります。
ただ花を正面から見ると、私には競泳の選手が飛び込む時の瞬間の体勢に見えます。
あちこちに向いて飛び込もうとしている花は、ユーモラスで可愛いです。

上高地で咲く時期:5月下旬~6月中旬
(トップの写真の撮影日:2006.6.19)


蕾(撮影日:2007.5.30)

※写真が小さいのでよくわからないかもしれないですが、
蕾の時は鳥の口ばしのように横向きでツンととがっています。
蕾の付け根のところに距(キョ)と呼ばれる丸い膨らみが出来ると、もうすぐ咲きます。

花(撮影日:2007.6.4)

※2本のアオチドリですが、右は左の固体に比べて赤茶が濃いタイプです。
『アオチドリ』の名前の通り、茶色味を帯びず緑の花を咲かせるタイプもありますが、
上高地の『アオチドリ』の大部分は、薄くても左の固体くらいの色です。

花(撮影日:2007.6.4)

※上の写真の左の固体をトリミングさせてみました。
花の付け根の葉は、学名にあるように『苞葉(ほうよう)』と呼ばれている葉です。
この写真をアップにしたのは、花柄の捻じ曲がり具合を見て頂きたかったからです。
右上の花柄が一番よくわかるかなと思うのですが、どうでしょう。
ものすごい捻じ曲がり方に思いませんか?
芽吹きの時、きっと蕾は苞葉に包まれて上を向いているのでしょう。
それが下向いて咲くために、柄をこれほどまでに曲げることになったと云うことでしょうか。
苦しくないかなぁ。 この花を見るたびにその懸命さに感心します。

アイヅシモツケ(バラ科)

2008年02月24日 22時43分42秒 | 上高地の花々-あ
学名は:Spiraea chamaedryfolia var. pilosa
Spiraea:シモツケ属。
※ギリシャ語のspeira(螺旋、輪)に由来し、果実が螺旋(らせん)状をなす種があるため。
chamaedryfolia:<chamaedryfolius=シソ科ニガクサ属Chamaedrysに似た葉の
※ニガクサ属の『Chamaedrys』と云う植物の名前がわかりませんでした。残念です…。
pilosa:<pilosus=軟毛ある、毛で被われた

漢字で書くと:会津下野
※『シモツケ』属の新種が会津で最初に見つけられて名前がついたと云うことですが、
地方の名前が連名でついていると云うのは珍しいと思いますし、こんな名前を付けられても
付けられた方も困るなぁと云うのが正直な感想です。
また『会津』は『あいづ』と読み、カタカナで書くと『アイヅ』となるのが普通で当然なのに
『アイズ』と表記されていることが多いのも不思議な感じです。

上高地で咲く時期:6月中旬
(トップの写真の撮影日:2007.6.11)


蕾(撮影日:2007.6.11)

※河童橋と明神間の一角にまとまって咲いている場所があります。
6月中旬に歩くと、とても目立ちます。 サクラが終わって静かになったその場所で
華やかな一時期が味わえます。

花(撮影日:2006.6.19)

※この辺りはそれほど日中に陽があたらず、目を留めるような花が咲くわけではないので、
この『アイヅシモツケ』が華やかな花をつけると、目立ちます。
陽が射していないのにその場が明るく感じられるのは、バラ科の華やかさのせいでしょう。

ウワミズザクラ(バラ科)

2008年02月17日 21時18分28秒 | 上高地の花々-あ
学名は:Prunus grayana
Prunus:サクラ属。 ※ plum(スモモ)に対するラテン古名。
grayana:< Grayanus=北米の分類学者A.グレイの
※東アジアと北米東部の植物相に共通性があることを提唱した米国の植物学者。
アメリカ合衆国艦隊ペリーの遠征記録がアメリカ合衆国政府によって『ペリー日本遠征記』として
1856(安政3)年に出版された時、グレイはその報告書の中に採集した植物標本の
分類研究の結果として多数の新植物を報告したと云われています。

漢字で書くと:上溝桜
※本当の和名は『ウワミゾザクラ』と云って『上溝桜』が転化したものと云われています。
昔、亀甲で占う時、この木の上面に溝を掘って使用したことから『上溝』桜と呼ばれたらしく、
『占(裏)溝桜』の表記が正しいともされています。
ウワミズザクラはとても堅く、地方によっては金剛桜や、鉈柄(なたづか)と呼ばれて、
版木や彫刻材、さらに樹皮は樺細工に使われたりしたそうです。
新潟では、蕾を塩漬けにしたものを『杏仁香(アンニンゴ)』と呼んで食用にされます。

上高地で咲く時期:6月上旬~下旬
(トップの写真の撮影日:2006.7.8:槍沢ロッジ付近)


芽吹き(撮影日:2007.5.16)

※この芽吹きの時は『シウリザクラ』とよく似ているのですが、葉が緑色なことで見分けられます。
『シウリザクラ』の葉は花のように赤いので、全く違います。

蕾(撮影日:2007.5.30)

※この場所は、河童橋から右岸を下流に向かって歩いて行くと、
車が通れる大きな遊歩道と梓川沿いを歩く少し細い道に分かれるところです。
この時期に梓川沿いの道を歩くと、右側に『ミヤマザクラ』、左側にこの『ウワミズザクラ』を
何本も見ることが出来る絶好の場所です。

花(撮影日:2007.6.16)


※ブラシのような花で、サクラだと最初に聞いた時は本当にびっくりしました。
年によって『シウリザクラ』と咲く時期が前後します。
この場所は、遮るものがなく、陽を浴びて咲いていることが多いです。

実(撮影日:2006.7.20)

※ここには、1本の大きめの樹があります。
花の時期を過ぎるともう見向きもされないのは、サクラの悲しい運命かもしれませんが、
この樹の近くで5年間を過ごしたこともあり、とても親しみのある樹なのです。
この実はまだ青くてとんがりも残っていますが、次第に次の写真のように赤くなり始めます。

実(撮影日:2006.9.11)

※実の色が変わり始めると、きっと鳥や猿たちは待ち切れなくなるのかもしれません。
黒くなる頃には、あっと云う間になくなってしまいます。
きっと相当美味しいに違いありません。

オオバタケシマラン(ユリ科)

2008年01月31日 00時17分56秒 | 上高地の花々-あ
学名は:Streptopus amplexifolius var. papillatus
Streptopus:タケシマラン属。
※ギリシャ語。streptos(ねじれた)+pous(足)。花の柄が捻(ねじ)れて葉の下に入るから。
amplexifolius:抱茎葉(ほうけいよう)の
papilla:<papillatus=乳頭の

漢字で書くと:大葉竹縞蘭
葉の形とその筋のようすからこの名が付きました。
花柄が長く伸びて下向きの花をつけるために、ユリ科ではなく、ラン科の花に間違えられた
と思われます。
タケシマランよりもはるかに大きく、1m近くになります。

上高地で咲く時期:6月下旬~7月上旬

※上高地では、同属のタケシマランの方が多く見られます。
このオオバタケシマランは、上高地の平地より少し標高の高いところで咲き、
また沢沿いなどタケシマランより少し湿りけを好むように思います。
明神の徳本峠への分岐の近くに、毎年花をつけてくれる株があったのですが、
2006年の大雨で梓川があふれた時に流されたのか、2007年は姿が見えませんでした。

蕾(撮影日:2006.7.7)

※よく目立つ大きな葉をしています。 葉の影に隠れて蕾をつけるので、
覗き込まないと蕾や花を見つけることは出来ません。
特にこの蕾の頃は、まだ茎に勢いがあって、かなり直立に近い状態だからです。
見事に葉の真下に隠れています。

花(撮影日:2006.7.8)

※花柄が90度捩れているのが、不思議で可愛いですね。 どんな理由があるのでしょうか。
提灯のように釣り下がった花が、初夏の風に吹かれてわずかに揺れるのを見ていると、
長い道を歩いた疲れも、吹っ飛ぶ気がします。

実(撮影日:2007.9.1)

※この撮影場所は上高地から遠く離れているところですが、上高地の少し高い登山道でも見られます。
真っ赤な大きな実です。 実の大きさに直立だった茎が斜めから真横近くまで下がるので、
実の連なりがよくわかるようになります。

イワナシ(ツツジ科)

2008年01月30日 00時10分48秒 | 上高地の花々-あ
学名は:Epigaea asiatica Maxim.
Epigaea:イナワシ属。
※ギリシャ語のepi(上)+gaia(地)。
紐のように地上を這って伸びる様子を表したもののようです。
asiatica:<asiaticus=アジアの
Maxim.:<Maximowiczianus=ロシアの分類学者のマキシモヴィチの
※学名に興味があって調べるようになったのですが、
このマキシモヴィチと云う方、よく出て来るので、調べてみました。
1860年から4年間、日本に滞在して、日本産植物を採集し命名した、ロシアの植物学者で
『東亜植物の父』と呼ばれて、須川長之助に採集整理の技術を教えたとも云われています。

漢字で書くと:岩梨
※名前は岩場に生えて、梨のような味の実をつけることに因るのですが、岩場ではなくて
林縁の斜面などに生えていることの方が多いように思います。

上高地で咲く時期:5月中旬~6月上旬
(トップの写真の撮影日:2007.6.27)


冬芽(撮影日:2007.4.23)

※いつもの場所に毎年芽吹きを見に行っています。
この状態が芽吹きだと思っていたのですが、2007年秋の下山間近に見に行くと、
すでに芽が少し出た状態になっていて、そのまま越冬することに初めて気づきました。

芽吹き(撮影日:2007.5.8)

※越冬した芽が少し割れて、蕾が出始めました。
ここは私にとってはとっておきの場所なので、いつも様子を見る時は、
観光客の通る時を避けて、しゃがみこんで写真を撮っています。

蕾(撮影日:2007.6.27)

※上高地から少し高い場所に登る時は、片道の間に、実から遡って蕾に辿り着くことが出来ます。
もちろん、そこから下りて来る時は、蕾からの順番通りで見ることが出来るわけですが…。

蕾(撮影日:2007.5.21)

※蕾の膨らみ方が愛らしいですね。 フリルのような花びらのそり返る途中も見てみたいです。

花(撮影日:2006.6.27)

※珊瑚のような淡いピンク色は、自然が創る素敵な色だなぁといつも感動しています。
上高地近辺で見る色は、だいたいこれくらいの淡さなのですが、色の濃いのや、
グラデーションのあるものまで個体差があると知り、探してみようと思っています。
花は、終わり頃になるともろくなって、少し触るとすぐに落ちてしまうので、注意が必要です。

実(撮影日:2007.6.27)

※名前の由来になった実の味ですが、本当に梨の味がするのでしょうか。
上高地は国立公園で、植物の採集は禁じられていますので、食べることは出来ません。
標高の低い山でも見られるので、いつかは!と思っています。
でも、実に雌しべの名残りがついている時はまだ青い気もするのですが、名残りが取れる
頃には動物が目敏く食べるのか、すぐになくなってしまうように思います。

オオカメノキ(スイカズラ科)

2008年01月29日 03時21分41秒 | 上高地の花々-あ
学名は:Viburnum furcatum
Viburnum:ガマズミ属。
※Viburnum Lantanaに対するラテン古名。
furcatum:<furcans、furca、furcatus=叉状の、フォーク状の、三つ又状の

漢字で書くと:大亀の木(別名:ムシカリ)
※オオカメノキは卵円形の葉の形を亀の甲羅に見立てたもの、
別名のムシカリは葉によく虫がつくので『虫食われ』が転訛したものと云われています。
薪炭にも使われますが、よく撓う(しなう)ことから、弓や輪かんじきに用いられました。

上高地で咲く時期:5月中旬~6月中旬
(トップの写真の撮影日:2007.5.24)


冬芽(撮影日:2007.4.23)

※バンサイ、バルタン星人、ディズニーのスティッチなどなど、いろいろな見方が出来る
と思いますが、大好きな冬芽です。 私は『バンザイの木』と呼んでいます。
顔に見られるところが、この後、花になっていきます。

芽吹き(撮影日:2007.5.8)

※葉は、必ず2枚で1組です。 宝貝のように丸まっていて、だんだん開いていきます。

蕾(撮影日:2007.5.18)

※花も周りの装飾花もまだ蕾です。 薄い緑なので、林の中でもまだ目立ちません。

蕾(撮影日:2007.5.18)

※本当の花は中央の小さな花なのですが、まだ蕾です。 周りの装飾花が開いて、
この頃から、まだ花の少ない林の中で、目立つようになります。 虫を誘います。

花(撮影日:2007.6.2)

※満開状態です。 とても華やかで、美しい花です。 中央の本当の花が受粉すると
もう周りの装飾花は用が終わるので、ぽたぽたと下に落ちます。
オオカメノキは結構大きくなるので、花が咲いているのに気がつかない時もあるのですが、
この装飾花が落ちる頃になると、頭上にオオカメノキが咲いていたことに気づかされます。             

花(撮影日:2007.6.27)

※中央の本当の花のアップです。 両性花です。
厚ぼったい花びらで、白かったりピンクがかっていたりします。
この写真は標高が上高地内より高い場所で写したので、時期が少しずれています。

実(撮影日:2006.9.11)

※もう少しすると、真っ赤になり、その後黒くなって行きます。
赤い間は木に残っていますが、黒くなると鳥が食べに来るのか、見るのは難しいです。

実(撮影日:2007.10.4)

※黒くなった実の写真はないと思っていたら、ありました。
よく似たカンボクの実は、冬になっても残っていることが多いのですが、
オオカメノキは黒くなるからか、葉が落ちる頃までには、なくなっているようです。