里紀 in Crossing Field City!

~遠く、北アルプスとお城の街を離れて~

ウスバサイシン(ウマノスズクサ科)

2008年05月14日 21時55分59秒 | 上高地の花々-あ
学名は:Asarum sieboldii
Asarum:カンアオイ属。
※ギリシャ古語asaronが語源ですが、出所は不詳です。
一説には花が半ば地下に埋もれて咲くことから、a(無)+saroein(装飾)とも云い、
またasaron(枝を打たぬ)で根茎が分岐しないことから来たとも云われています。
Sieboldii:<Sieboldianus=日本植物の研究者シーボルトの

漢字で書くと:薄葉細辛
同じ仲間のカンアオイなどに比べて、葉の厚さが薄いこと、薬用とされる根が細く、
味わうと辛いことから名づけられています。
生薬の細辛(さいしん)は、ウスバサイシンの全草または根茎と根を乾燥させたものです。
ウスバサイシンはカンアオイと違って冬には落葉します。
また、ウスバサイシンやカンアオイは、蝶が好んで食べる食草です。
カンアオイがギフチョウの食草なら、ウスバサイシンはヒメギフチョウの食草です。

上高地で咲く時期:5月上旬~6月上旬
(トップの写真の撮影日:2007.5.21)


芽吹き(撮影日:2008.5.6)

※落ち葉が敷き詰められた柔らかい地面を割って、芽吹きです。
小さく折り畳まれた葉を、これから上に持ち上げるところです。
芽吹きの時の植物の力強さにいつも感心します。

蕾(撮影日:2008.5.6)

※大きくなり始めた葉に守られて、蕾が顔を出しています。
この日は陽射しが強く、まぶしくて目が開けられない!って感じに見えました。

蕾(撮影日:2007.5.24)

※葉の茎も伸び、蕾が開き始めました。 もうすぐ開花です。
何だかカラスの赤ちゃんが、あくびをしているような感じですよね。

花(撮影日:2006.6.1)

※初めてこの花を見た時の驚きを忘れられません。
こんなこげ茶色の花があるんだなぁとびっくりしてしまい、写真を撮りたくりました。
この場所はたくさん固まって咲いていますが、上高地ではそこここでよく見ることが出来ます。
つぼ形をしていて3枚の3角形の裂片ががく片です。 花弁は退化してほとんど見られません。


※まだ実が生っているのを見たことはありませんので、写真はありません。
果実が熟し、その後、種は壺からこぼれ落ちるようです。
また『ウスバサイシン』の種には、スミレやカタクリのようにアリが好む付属体
(スミレにはエライオソームと云う付属体が知られています)がついていて、
アリによって遠くに運ばれるようです。

霧訪山に行って来ました!

2008年05月09日 23時56分11秒 | 上高地周辺の山々

一昨日の7日、上高地を下りて塩尻の『霧訪山(きりとうやま)』に行って来ました。
今年の3月に『セツブンソウ』を見に、登山口の山ノ神自然園に来て以来です。
もう、この場所は私のかなりのお気に入りです。
この日は、何と自然園の入口で『山の神様』に出会いました。

カモシカです。 車で登山口まで入ったのですが、その時、杉林を通り過ぎながらふと左を見ると、
車道から3m位の林の中にスックッと立っていました。
簡単に通り過ぎてしまったので、ゆっくり車をバックさせて戻ると、びっくりして(ごめんなさい)、
3mほど走って、振り返ってくれているところです。
山の神自然園で山の神様に出会うなんて、何かいいことあるかなと嬉しくなるサプライズでした。


登山口は自然園の奥にあります。
山吹が咲き乱れる中、歩き始めます。
登山道は落ち葉が積もり、ふかふかです。
急登なのですが、ジグザグに道が造られているので、
久し振りの山登りをする私にも優しい道でした。
登山道の脇には『モミジイチゴ』の白い花がたくさん咲いていましたし、
足元には、いろいろな種類のスミレが可愛い花をつけていました。


戻ってから名前を調べようと、図鑑を見ていますが、やっぱりわからないです。
図鑑をその場で見て、どこがどうなっているかをよ~く見ないと断定は出来ないようですね。
ただ、たくさんの種類が咲いていたので目を奪われてしまい、目的の花ではなかったのに
時間を取られてしまいました…。 反省、反省…。


スミレ畑のような道を過ぎて少し高度が上がると、『チゴユリ』が咲き始めていました。
この花も大好きな花の1つです。 上高地にもある場所で咲いています。
この写真の右端に切れてしまっていますが小さな株が写っています。
その株の先端の葉が二つ折れになっているのがわかるでしょうか。
ここに蕾が隠れています。 と云うか、守られています。

あと、この山の中腹には『イワウチワ』がたくさん咲いていると云うことでしたので、
楽しみに登りましたが、少し遅かったようでした。

葉は『イワカガミ』に似ているのですが、丸くて名前の通り団扇のようです。
この写真の株だけ、花びらが下に落ちていたので、残念でしたが記念に撮って来ました。

もう少し歩くと、今度は『カタクリ』が咲く場所に出ます。 半端でない数で、
花の時期に来ると見事だろうと思います。 今回はほとんど種になっていました。
一緒に登って下さったやましかさんが、こんな頑張り屋のカタクリを見つけて下さいました。

この葉は1枚葉で、まだ花芽を出さない株なのだそうですが、芽吹いた時に枯葉を突き破って
出て来たのでしょう。 でも葉を開く時に枯葉の葉脈を破ることが出来なかったのかもしれません。
しばらく見入ってしましました。

そんなこんなしながら、山頂に到着です。
途中の『鉄塔』で中休憩、『ぶなの別れ』で小休憩をして、
2時間かけて登りました。

1305.4m。 2等三角点のある山頂です。
視界は開けていて、360度見渡せます。
昔の狼煙山だったそうで、どこか(教えてもらったのに忘れてしまいました)から松本まで
急を知らせるための山でもあったそうです。


この日は遠くが霞んでしまって、北アルプスの方向に山はほとんど見えなかったのですが、
この展望指示盤を見る限りでは、展望の山と云えます。

そしてこの日の最大の目的だった『オキナグサ』に、会えました!
中腹で『イワウチワ』が咲き終わっていたので、この『オキナグサ』も名前の通り
もう『翁』になってしまっているかなと半ば諦め気味で登って来たのですが、
ほとんど翁になっている中、数株はトップの写真の通り、まだ咲いていてくれました。

この花は山頂の松の木の下に1株だけ咲いていたのですが、日陰だったせいか、
まだ咲き始めたばかりのようでした。 茎も葉も花の外側もふわふわの毛に覆われています。
触ってみるとしっとりした軟らかい毛でした。
会いたかった花にこうして出会えることが出来て、とても嬉しい今年の初登りの日になりました。

山頂には小さな祠がありました。
『オキナグサ』に出会えた感謝とこの花を守って下さっている下西条や小野の方々への感謝、
そしてこの愛らしい花を盗掘しようとする心無い人が少しでもいなくなるように守って下さいと
祈って、山頂を後にしました。

急登の道を下るのは大変でした(一度滑ってしりもちをつきました)が、約1時間で元来た道を
登山口まで戻りました。

本当に楽しい1日でした。
ご一緒して下さったやましかさん、やましかさんのお友達の(名前を忘れてしましました)方、
ありがとうございました。
特にやましかさんには、長旅の後のお疲れのところを無理にお願いしたのにも関わらず、
快くご一緒して下さり、本当にありがとうございました。 念願の花に会うことが出来ました。
これに懲りずにまたご一緒して下さい。 お願いします…!