犬しか相手にしない

　近所といっても何処に住んでいるかはしらない。目が合えば罵詈雑言を吐き時には殴り掛かってくる。狂犬みたいなジジイだ。体格がいいので危険極まりない。いつも同じ時間帯に同じコースで雑種の犬を連れ片手に園芸スコップを持っている。なぜスコップかと言うと散歩の途中犬に糞をさせ埋めるためである。曰く糞を埋める俺は良心的だと。変な良心だ。それより良心に呵責を覚えてもらいたい。犬は飼い主に似るというが犬はとてもおとなしい。何年振りか距離をおいて出くわした。細君連れだったためか罵詈雑言はなかったがいつまでも睨み付けながら去って行った。細君には本性を見せたくなかったのだろうか。それとも細君の前ではおとなしいのか。ひょっとすると細君が飼い主かもしれない。