凡夫の日常(たんたんぴー日記)

たんたんぴー(キジョラン)は綿毛のついた種です。風に吹かれてどこに飛んでいくやら。淡々坦々にも通じる気持ちです。

伊勢湾台風クラスの台風

2017-10-21 | 日記
21号台風が接近してきている。コースが伊勢湾台風のときに似ているようだ。伊勢湾台風は紀伊半島に上陸し三重県を縦断名古屋を直撃し4千人もの死者を出した台風災害史上最悪の台風だった。当時鈴鹿市に住んでおり海岸まで直線で500メートルのところだった。未曽有の強烈台風接近が報じられると我が家はちょっとしたパニックだった。親父は雨戸を釘付けした。それ以上の対策はなくハラハラしながら襲来を待った。徐々に風が強まり生暖かい風が吹く。6時頃だったかあたりは薄暗く轟轟物凄い風が吹き停電した。真っ暗中家が呼吸するように揺れる。雨水が壁を伝って少し壁を濡らした。風邪が瓦を噴き上げその隙間から雨水が入ったらしい。2時間ほど怯えていたがふっと風が止まった。外に出てみると星が輝いていた。台風の目の中に入ったのだ。暫くして風が吹き始めたがそれほど強くはなかった。ほっとして床に入った。
翌日は台風一過抜けるような晴天だった。庭の落ち葉の下からドジョウが出てきた。高潮で海水が逆流し川の上流で堤防が決壊し海水が田んぼに流れこみドジョウが逃げてきたのだ。夜だったので気が付かなかったが床下浸水していたのだ。近所の様子はと見ると風当たりの良い家の屋根の半分の瓦がなく土が剥きだしている。瓦は田んぼの中に散乱している。やはり酷い台風だったのだ。海に行ってみると、砂浜に巾1メートル高さ30センチメートルの堤防ができている。なんと打ち上げられたアサリの堤防だ。まだ生きている。少し持って帰ってみたが弱っていて砂出しできない。その後打ち上げられたアサリは死に暫くの間臭気が漂っていた。その後はアサリがまったくと言っていいほど取れなくなった。火を通せば身がふっくらと貝よりはみ出る甘くて大変おいしいアサリだった。残念だ。護岸堤防の外側にあった有名歌人の別荘は防波堤ともども破壊されていた。小学校の校庭は水浸しでサヨリが泳いでいた。校舎は水に漬かることなく被害は受けていないようすだった。
名古屋や愛知県西部がとんでもないことになっているのはその後知った。職場の先輩が名古屋にいて浸水した宿舎から逃げ出し怪我して壊疽になり死にそうになったと聞いたのは何十年も後のことだ。60年近く前のことだが忘れることはない。