被害者の李(リー)さん(47歳)は、湖南省出身で浙江省寧波市鎮海区にある廃品回収所で働いている。
李さんは父方の従弟と一緒に部屋を借りているが、条件が悪く浴室がない。そこで、従弟の妻・王(ワン)さんが出入り口の守衛をしている近所の固定器具(ボルト、ナットなど)を製造する会社に行き社員専用の浴場を借りていた。この社員専用の浴場は24時間お湯を供給しており、李さんは王さんのコネで、時々その浴場を借りていたという。
今年3月の晩、事件が起きた。
李さんはいつものように、この会社の浴場を借りた。
入浴を済ませた後、李さんは会社の出入り口で王さんと話しをしていた。その時、彼はシャンプーのボトルを浴場に落としてきたことに気づき、急いで取りに行った。普段、男性浴場のカギはかかっておらず、李さんは直接中に入っていったところ、浴場の中から突然女性の叫び声が聞こえた。「何してるの!」女性の声を聞いて、李さんは驚いて外に出たという。
なぜ、男性浴場に女性がいたのか?
当日夜、女性浴場は満員だった。そのため、李さんが浴場から出た後、この会社の女性工員の金(ジン)と田(ティエン)の二人は、無人の男性浴場を使っていたのだ。
「ノックもしないで入ってくるなんて、頭がおかしいわ。あなた、ここの工場の社員なの?」、金は李さんに対しひどい罵声を浴びせた。
風呂から上がった金は、すぐに出入り口で待っていた夫の鐘(ジョン)容疑者と落ちあい、自分たちが風呂に入っている時、男が突然入ってきたと話した。それを聞いた鐘容疑者は激昂(げっこう)し、「変態」に仕返してやると意気込んだ。
この時、李さんは守衛室で王さんとおしゃべりをしていた。
王さんは出入り口の外で話す金と鐘容疑者の声が耳に入り、すぐに李さんと一緒に釈明したが、鐘容疑者はどうしても聞き入れなかった。いさめきれない様子を見て、王さんは李さんにすぐに逃げるように指示したが、李さんが立ち去るとすぐに鐘容疑者は後ろをついて行った。
しばらくして、一台のミニバンがやってきた。鐘容疑者はクルマに乗って李さんを追跡し廃品回収所へやってきた。その後、鐘容疑者は車内にいた体格のいい男二人と一緒に李さんに暴行を加えた。李さんは多くのカ所を骨折する重傷を負った。
事件翌日、とんでもないことになったと知った鐘容疑者は自ら派出所に届け出て、李さんに12万元の賠償金を支払った。
11月21日午前、鎮海区裁判所では審理の結果、鐘容疑者の行為は故意の傷害罪であるとして、懲役2年6カ月、執行猶予3年の判決を下した。
裁判官の意見:現在、多くの企業の浴場で、利用者が多いために女性社員が男性浴場を占用するという状況がみられ、今回の事件もこれによって引き起こされた。よって、企業は管理を強化し、確実に警告標識、カギを付けるなど措置を取り、類似の状況の発生防止をすべきである。また、当事者は、類似の状況が発生した場合は合法的解決し、暴力に訴え矛盾を激化させてはならない。
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