そして時の最果てへ・・・

日々の雑感や趣味の歴史についてつらつらと書き並べるブログ

心と言葉 その2:アキレスと亀 後編

2008-01-14 14:28:54 | 雑感
心と言葉を考えるシリーズ。前回に引き続いて数学のお話。

前回は「無限回の足し算が有限の値になっちゃうことがあるからA君はB君に追いつく」という結論でしたが、またしてもゼノンさんが「ちょっと待て!」と言うわけです。

スタートしてA君がB君のスタート地点に到達したときに1、そこから再スタートしてA君がB君のいた地点に到達したときに2、・・・という具合にA君に数を数えてもらうとするならば、A君がB君に追いつくためには「無限個ある自然数をすべて数え終わらなければならない」ということになる。「無限個の自然数を数え終わる」ということ自体が矛盾しているので、やっぱりA君はB君に追いつけないんじゃないの?

A君がB君に追いつく際に、「数を数える」という「作業」を加えると、その作業が無限回続くこととなるため終わりはなく、追いつけない。そんな結論です。前回は無限回の足し算でA君がB君に追いつくことを証明しましたが、「無限回の足し算?死ぬまでやってろ!m9(^Д^)プギャーーーッ」と言われてしまうと反論できなくなります。

無限>>>>>>>>(越えられない壁)>>>>>>>>有限
これはやはり「越えられない壁」なんですよね。

以上、

A君がB君に追いつくことと、自然数を数え終わることは意味的に等しい。

自然数を数え終わることは不可能

よってA君はB君に追いつくことは不可能

という三段論法ができあがってしまいました。しかし実際はA君はB君に追いつき、やがて追い越す。この「不思議な話」はいったいどうやって解決すればよいのでしょうか?


~高校数学がわかる方へ~

前回
Sn = 1 - 2^-n
だと示しましたが、
Sn = 1 になるときの自然数 n は偶数か奇数か?
という問いには答えられないわけです。
「nは自然数である」という要件と同時に「nは自然数という概念からぶっ飛んだ『無限大』という数である」が満たされなければなりません。
ここに「無限と有限のかけ橋」のうさん臭さが隠れています。