そして時の最果てへ・・・

日々の雑感や趣味の歴史についてつらつらと書き並べるブログ

2008-01-01 17:39:45 | 雑感
あけましておめでとうございます。めでたいかどうかは取り敢えず考えないとして、おめでとうございます。


おせちを食べ、母の淹れてくれたコーヒーを飲む時。ポーションミルクをコーヒーに垂らしてこんなことを思いました。

「『時間』って、こういうことなんだな」


ブラックコーヒーにミルクを入れてかき混ぜると白っぽくなる。けれども、しばらく待ってみてもコーヒーの層とミルクの層に分離することはない。

もしコーヒーにミルクを入れてかき混ぜるシーンをビデオに撮影して再生すれば、混ざって白っぽくなる映像だったら普通の再生、ミルク入りコーヒーが黒と白の2層に分離する映像だったら逆再生しているんだ、とすぐにわかるでしょう。

なんで?

・・・この不可逆現象の本質は統計学(数学)にあります。実はミルク入りコーヒーが2層に分離する確率はゼロではなく、しかもその確率をわりと正確に計算することができます。

180gのコーヒーに18gのミルクを入れ十分にかき混ぜた後、完全に2層に分離している確率は次の通り。

袋の中に60*10^24個の黒玉(コーヒー)と6*10^24個の白玉(ミルク)を入れてよくかき混ぜ、袋から6*10^24個の玉を取り出したとき、その全てが白玉である確率。

ほ~ら、物理や化学でなく数学の問題です。で、肝心の答えは60*10^24C6*10^24。平たく言いますと計算するのがメンドクサイぐらい「ありえない」確率です。

コーヒーとミルクが混ざって2度と分離しない原因は、分離している確率より混ざっている確率のほうが圧倒的に高いからです(これを熱力学の第2法則と呼びます)。

(それならば、ワレワレの寿命が宇宙よりもず~っと長ければ、そしてこのミルク入りコーヒーを見続けられるぐらい暇だったら、2層に分離する瞬間を目にすることができるか?これについてはまた別の機会に。)

ワレワレは知らない間にこの法則を知っています。だからコーヒーにミルクを混ぜる不可逆過程において、入れてすぐの分離している時(=確率低)を時間軸上で前、かき混ぜて白っぽくなった時(=確率高)を時間軸上で後ろの出来事と「自動的に」認識し、ビデオの再生方向を間違えないのです。確率の大小によってワレワレは時間を認識する。

熱力学の第2法則は「宇宙はそのうち死ぬの法則」であり、かつワレワレが「時間は過去から未来へ流れていく」と言った場合の「過去」と「未来」を具体的に定義する法則だったのです。今更ながら気がつきました。
宇宙の終末と、そこへ到るプロセスを明らかにする法則。・・・では、宇宙開闢の瞬間は?

と、ワレワレが眺めている景色には、「たくさんの不思議」が満ち溢れています。ワレワレの目の前に転がっている小さな不思議を解決しようと、その未知のものに一歩足を踏み入れた途端、ただひとつの例外もなく、その奥にはさらに未知の大きな世界が続いています。

それは、何だか元日と新年の関係に似ているように思います。元日になった今日、新しい未知の一年が始まります。ワレワレの足元からまだ見ぬ未来へ、未知の道が続いています。