「奇跡の人」を通して哲学をやるシリーズ。今回からいよいよ思考実験をやろうかと。
ヘレンがお母さんのケイトと散歩の途中、同じく散歩中のワカメちゃんとフネさんに出会いました。
・・・思考実験なのでツッコミはなしでお願いします。
ワカメちゃんはヘレンの手をとって「Wakame」と綴りました。するとヘレンも「Wakame」と綴り直します。
次にワカメちゃんがヘレンの手をフネさんとつながせて「mother」と綴ります。ところがヘレンは首を横に振って、ケイトさんの手を取って「mother」と綴りました。
・・・ヘレンにとっては「mother」はケイトさんを指す固有名詞でしかありません。ここでは「mother」を「私のお母さん」という固有名詞的な使い方と、「女親」という一般名詞としての使い方を混同してしまっているわけです。
人間には男親と女親がいて、そのうち女親を「mother」と呼ぶ、ということを全て教えなければ、ヘレンにとっての「mother」はケイトさんだけになってしまうのです。
「cat」の場合はさらにヤヤコシイ。
ワカメちゃんがヘレンにタマをだっこさせて「cat」と綴りました。ヘレンは「cat」と綴り返します。
次の日コボちゃんと出合ったヘレンは、コボちゃんにミーをだっこさせられて「cat」と綴られました。するとヘレンは首を横に振り、タマを抱き寄せて「cat」と綴るのです。
ヘレンにはタマとミーに共通する特徴がわかりませんから、タマとミー、および猫一般に共通する特徴を教えなければ、ヘレンは「cat」を最初に出会ったタマの固有名詞的な使い方しかできないわけです。
では猫一般に共通する特徴はなんでしょうか?「goo辞典」から引用しますと、
食肉目ネコ科の哺乳類。体長50センチメートル内外。毛色は多様。指先にはしまい込むことのできるかぎ爪がある。足裏には肉球が発達し、音をたてずに歩く。夜行性で、瞳孔は円形から針状まで大きく変化する。本来は肉食性。舌は鋭い小突起でおおわれ、ザラザラしている。長いひげは感覚器官の一つ。ペルシャネコ・シャムネコ・ビルマネコなど品種が多い。古代エジプト以来神聖な動物とされる一方、魔性のものともされる。愛玩用・ネズミ駆除用として飼われる。古名、ねこま。
これではヘレンどころかワタシだって理解できません。
(わざわざ舌のザラザラした感覚まで説明しなくていいと思うのはワタシだけ?)
ならば実感として、タマとミーを触ってもらい、共通点を肌で感じてもらってはどうか?でもそれだと、キキと出会った時にジジをだっこさせられても「cat」だと理解することはできません。
ワレワレが出会う全てのものは、付けようと思えば個々の名前を付けられる個々のものです。しかし、「cat」という一般名詞は「タマ」や「ミー」、「ジジ」を意味するだけではなく、猫一般を表します。
現実は個物で埋まっているのに、どうして言葉は一般性を獲得しうるのか?
ヘレンがお母さんのケイトと散歩の途中、同じく散歩中のワカメちゃんとフネさんに出会いました。
・・・思考実験なのでツッコミはなしでお願いします。
ワカメちゃんはヘレンの手をとって「Wakame」と綴りました。するとヘレンも「Wakame」と綴り直します。
次にワカメちゃんがヘレンの手をフネさんとつながせて「mother」と綴ります。ところがヘレンは首を横に振って、ケイトさんの手を取って「mother」と綴りました。
・・・ヘレンにとっては「mother」はケイトさんを指す固有名詞でしかありません。ここでは「mother」を「私のお母さん」という固有名詞的な使い方と、「女親」という一般名詞としての使い方を混同してしまっているわけです。
人間には男親と女親がいて、そのうち女親を「mother」と呼ぶ、ということを全て教えなければ、ヘレンにとっての「mother」はケイトさんだけになってしまうのです。
「cat」の場合はさらにヤヤコシイ。
ワカメちゃんがヘレンにタマをだっこさせて「cat」と綴りました。ヘレンは「cat」と綴り返します。
次の日コボちゃんと出合ったヘレンは、コボちゃんにミーをだっこさせられて「cat」と綴られました。するとヘレンは首を横に振り、タマを抱き寄せて「cat」と綴るのです。
ヘレンにはタマとミーに共通する特徴がわかりませんから、タマとミー、および猫一般に共通する特徴を教えなければ、ヘレンは「cat」を最初に出会ったタマの固有名詞的な使い方しかできないわけです。
では猫一般に共通する特徴はなんでしょうか?「goo辞典」から引用しますと、
食肉目ネコ科の哺乳類。体長50センチメートル内外。毛色は多様。指先にはしまい込むことのできるかぎ爪がある。足裏には肉球が発達し、音をたてずに歩く。夜行性で、瞳孔は円形から針状まで大きく変化する。本来は肉食性。舌は鋭い小突起でおおわれ、ザラザラしている。長いひげは感覚器官の一つ。ペルシャネコ・シャムネコ・ビルマネコなど品種が多い。古代エジプト以来神聖な動物とされる一方、魔性のものともされる。愛玩用・ネズミ駆除用として飼われる。古名、ねこま。
これではヘレンどころかワタシだって理解できません。
(わざわざ舌のザラザラした感覚まで説明しなくていいと思うのはワタシだけ?)
ならば実感として、タマとミーを触ってもらい、共通点を肌で感じてもらってはどうか?でもそれだと、キキと出会った時にジジをだっこさせられても「cat」だと理解することはできません。
ワレワレが出会う全てのものは、付けようと思えば個々の名前を付けられる個々のものです。しかし、「cat」という一般名詞は「タマ」や「ミー」、「ジジ」を意味するだけではなく、猫一般を表します。
現実は個物で埋まっているのに、どうして言葉は一般性を獲得しうるのか?