中国迷爺爺の日記

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公人には基本的人権はない?

2012-07-06 10:14:10 | 身辺雑記

 大阪市は24の区の区長を公募し、711名が応募しましたが、外部から18人、現職区長が6人で女性は2人が合格しました。最年少者は27歳でした。合格者の中にはその言動が週刊誌などに取り上げられたりした人もあったようですが、どれも橋下市長のお眼鏡にかなったのでしょう。とかく他所者(よそもん)には大阪人の目は厳しいようですが、当該区にまったく縁のない人も多いようで、区民に受け容れられるかどうかはこれからの手腕次第でしょう。

 その新区長を集めた会議がこのほど開かれましたが、橋下市長は「今までの生活と違うことを意識して態度、振る舞いを律してほしい。今日からはプライバシーも基本的人権もないと考えてほしい」と述べたそうですが、今までの生活と違うことを意識して態度、振る舞いを律することは当然で、下世話では前に首長として傲慢で部下の言うことに耳を傾けなかった人物もいるらしいので、謙虚に任に当たってほしい、「小橋下」にはなってほしくないと思います。

 しかし橋下市長が「今日からはプライバシーも基本的人権もないと考えてほしい」と言ったことは大いに問題があると思います。「基本的人権」は1789年のフランス人権宣言の考え方が広まった結果で、日本でも第二次大戦後にやっと普及し、憲法第11条は、「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。」と明記されています。公人と言えども基本的人権は等しく持っています。公人には基本的人権はないというのなら、公人すなわち公職にある者は公務員から、上は総理大臣に至るまで、誰もが基本的人権は持てないことになり、こんなバカな話はありません。

  橋下氏は弁護士の端くれですから、もちろん憲法のことは知っているはずですが、これまでの言動や、この発言にしても、どうも憲法を軽視しているように思います。そういう考えですから彼は大阪市で市職員の政治活動を規制し、違反した場合は原則懲戒免職する条例を作ろうとしています。5日付の『東京新聞』は社説で「行き過ぎはいけない」とたしなめています。

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012070502000116.html

 また彼は「(公人には)プライバシーもない」とも言っています。公人は確かに一般庶民と違って、時には個人生活にまで立ち入って衆人にプライバシーを曝されることは少なくないのですが、個人情報の保護のこともありますから、頭から「公人にはプライバシーはない」と言い切るのはどうかと思います。新区長達はどういう気持ちでこの訓示を聞いたのか。皆がその通りと頷いていたのなら情けない話で、これではこれからの「手腕」が疑われます。新区長の中にはNHKの記者だった人もいるのですが、このような市長の発言を批判的に受け止めなかったのでしょうか。

 橋下氏は誰もが認めるように非常に弁が立ちます。頭も良いのでしょう。しかし口に出す前に頭の中で自分の言わんとすることを反芻して練ることはしているのかと思うことがあり、時には単なる口説の徒のような感じを受けます。この新区長への訓示にしても、あらかじめ原稿を作って推敲を重ねて会議に臨んだのかと疑問に思います。どんな場であっても市長の挨拶、訓示というものは注目されるものです。謙虚で慎重な言辞が求められます。まして公の場で「プライバシーも基本的人権もないと考えてほしい」などと言うのは軽率では済まされない、公人としては論外な発言で、自分の才に溺れて口が軽過ぎます。

 

(朝の散歩から)

 近くの田に稲も根がしっかり張って青々としてきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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