日本の女性は男性より大学進学率は高いようです。それに、女性の雇用数はここ10年間に確実に増えています。しかし、いくつかの理由で子供を持つ女性が良い仕事を得るのはまだ困難です。
イトウ・ノブコさんは、まさしく現代の専門職を持つ日本人女性のモデルです。
彼女は、弁護士の資格を持ち、流ちょうな英語を話します。国際契約法の分野で数年働いた経験があります。
しかし、ノブコさんはもう国際契約法の仕事をしていません。理由ですか? 3人の幼い子供がいるからです。
日本のこれまでの統計によると、日本人女性が何故子供を産むと仕事を辞めるのかという最大の理由は日本の労働時間が育児を不可能にしているからです。
「子供を産む前に、クライアントに300時間費やした忙しい月があったことを覚えています。」とノブコさんは言います。
「朝9時にオフィスに行き、翌朝3時に帰ったものです。土曜日も日曜日も働きました。」
「もし働き続けたいなら、子供の事は忘れなければなりません。ただ仕事に専念するだけです。」
「これはできません。不可能です。」
ノブコさんの場合を見ても、日本の労働文化は苛酷です。それが、日本の女性の70%が第一子を持つと今も仕事を止める理由の一つです。
もう一つの理由は夫です。
家庭の仕事となると、日本の男性はヨーロッパやアメリカの夫達にはるかに遅れています。
スエーデンやドイツやアメリカの夫達は、平均して、1日に育児や家事に3時間使います。日本では、1時間です。育児は1日わずか15分です。
日本には夫の育児休暇制度があります。日本の男性はそれを利用する権利がありますが、厚生労働省によると、わずか2.63%という少数の人しか利用していません。
「夫はそれを利用しませんでした。」とノブコさんは言います。
「日本人の大半の男性は、制度を利用することを非常にためらいます。早く帰って家族を手伝いたいのかもしれませんが、昇進が遅れたり、仕事を失うのではないかと心配して、できるだけ熱心に仕事をしなければならないと思っているのです。」
このような状態の中でも、多くの母親と同じく、ノブコさんも仕事を続けたいと思っているのです。彼女は、今、家の近くの事務所から法律の仕事をもらっています。
しかし、彼女や他の日本の母親達が直面する次のハードルは育児で、その手段が無い事です。
東京都独自の統計によると、20,000人の子供が保育園待ちをしています。
公立保育園が理想ですが、数が少な過ぎます。たとえ順番が来ても所得調査があり、第一子は1ヶ月におよそ70,000円位かかります。
「私は3人子供がいるので割引になりますが、それでも、公立保育園でも少なくとも月1,000ドルかかります。」とノブコさん。
「私立保育園は高くて、園児一人に月2,000ドルかかります。でも、私立はとても立派です。」と彼女は笑いながら言います。
総合するとこうなります。子供を持つ女性は働いていない。働いている女性は子供を持っていない。両方とも日本の未来にとって恐ろしい事です。
日系アメリカ人の経済学者マツイ・キャシーさんは、もっと多くの日本の母親が仕事を続けるか仕事にもどるかができるようになることが日本の優先的課題であるべきだと言います。
それによって日本のGDPは15%も上がると彼女は言います。
しかし、マツイさんは、もっと差し迫った理由が別にあると言います。日本は人口が減っているのです。
「他の先進国も合計特殊出生率が下がっているけど、日本はペットの数が子供の数より多い唯一のOECD国家です。」と彼女は言います。
日本の女性一人の出生率はわずか1.37人で、人口が安定する2.1人にはるかに及びません。
ヨーロッパやアメリカが証明しているように、女性が仕事を続けられるようにすることで出生率を上げることができるのです。
スエーデンやデンマークや米国のような国では、女性の雇用率が高く出生率も高いのです。イタリアや韓国や日本のように女性の雇用率が低い国では出生率も低いのです。
日本では、人口統計学の危機はすでに深刻で、人口は2006年に減少し始めました。
もし、現在の傾向が続くと、50年後には日本の人口の3分の1が減少するでしょう。
このようなことは今までにありませんでした。
@男女間賃金格差
多くの日本の女性は、出産により労働市場から撤退し、しばしば正規雇用形態に復帰できません。二元的な日本の労働市場で、女性達はしばしば比較的低賃金で非正規な雇用に終わっている。
平均収益における男女の賃金格差は、OECD諸国の中で2番目の高さです。
@マツイ・キャシーさんの女性論
日本の女性の60%の雇用率は、75%のノルウエー、66%の米国、64%のドイツのような先進国よりずっと下に位置づけられる。
日本の女性のおよそ70%が、第一子を出産した時に仕事を辞める。
働いている6歳以下の子供を持つ日本の母親の割合は34%で、スエーデンの76%、英国の61%、ドイツの53%に比べると極端に低い。
↓参考資料
http://www.oecd.org/gender/Closing%20the%20Gender%20Gap%20-%20Japan%20FINAL.pdf
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東京の英国人記者による記事です。
子供を持つ母親の職場復帰の困難さや夫の協力の少なさなどかなり的確に記述していると思います。先進国並みの母親の正規雇用率や出生率に追いつくには後何年かかるのでしょうか。その前に日本人全体の労働条件の改善も急がれます。それに夫の意識の改善も!
難しい問題です。
簡単に意識は変わりませんから。
でも、結婚して退職する女性は、私の勤める会社では最近、殆ど居ません。
出産後も、育児休暇を得て、復帰しています。
呑み会にも、海外出張にも行っている人がいます。
たしかに、男が育児休暇を取ることは難しいですね。
私でも、ちょっとどうなの?って思ってしまいます。
残念ながら。次の世代でしょうね。