1955年(日本では、56年)公開のアメリカの青春映画です。
私は高校に上がったかどうかの頃ですから、そろそろ70年近く前の映画なん
ですね。
この映画の題名は知っていましたが、当時私は、映画には関心がなく、中学の
頃では学校から「映画鑑賞」があるときには行きました(二十四の瞳など)が、
個人的にはほとんど関心がなかったというか興味がなかったのでした。
この度、NHKBS3で、先月放送され録画していたのを昨日観たのです。ジェー
ムス・ディーン、ナタリー・ウッドらが出ていました。 原題は“Rebel Without
a Cause”で、50年代のアメリカの若者たちは、不安と焦りみたいなものに取り
囲まれた時代だったようで、ある意味自然な若者であったのかもしれないですが、
そんな状況が描かれていました。
(ネット画像より)
家庭での両親との関係も、子供から大人になる中間あたりで、子供の気持ち
の変化、理想とする人間像の狭い憧れなどを目指し、家族への反抗心や鬱憤が
爆発した形で、そのことが「理由なき」との題名に繋がっているのでしょう。
親にとっても扱いに変化が求められる‥そんな若者像をテーマに当時の若者
たちの非行の様子がリアルに描かれているのでした。いわゆる不良といわれる
存在だったのでしょう。
ティーンエイジャーという言葉が現われたのもこの頃で、あの「ウエストサ
イドストーリー」もそんな若者が描かれていましたね。 ティーンエイジという
概念が出来上がって、ジェームス・ディーンの主演作によって、彼は当時ティ
ーンエイジャーの象徴的な存在となっていたとありました。
しかし、ジェームス・ディーン自身は、この映画の公開約1か月前に交通事故
で亡くなるのです。わずか24歳で。
この映画を観て、そんな時代もあったのか・・とも思えてきましたが、どこ
かはるか遠い昔のような感覚でしたね。現代の若者たちは、もっと世間を理解
しているというか、大人びている感じで、受験や就活に懸命になり、家庭の悩
みなどは自分で解決している風にも外見には写っているようで・・。 しかし、
反抗的な若者もいないわけではなく、現実に存在していて、昔よりも数的には
少ないのかもしれませんが、もっと陰湿で残酷化しているように思えます。
ごく最近、高校生が無差別殺人にあこがれて、見も知らない先生を刃物で刺し
重傷を負わせる事件がありました。
(ネット画像より)
映画では、若者の間で「腰抜け」をチキンといっていますが、腰抜けとか意気地
なしと呼ばれるのが、どうしても嫌で、プライドというのか、それをかけた対決
シーンがあります。
夜、不良仲間が見守る中、崖に向かって車を走らせる命がけの度胸試し“チ
キンラン”という無謀な対決をし、一方は崖っぷちで車から逃れて助かりますが、
もう一人は逃げ遅れてがけ下に車もろとも落ちて死んでしまうのです。
本当にこのようなことが行われていたのかは分かりませんが、若者の偏った
正義感とか潔癖性などの極地を表現しているのでしょう。
そんな中で、ちょっぴり若者の優しさ、本音も描かれているのでした。
当時のヒット映画で、J・ディーンは若者のあこがれの的だったのでしょうが、
今の時代にはどこかそぐわない「昔」のイメージが残りました。
映画の初めの文字画面に「シネマスコープ」の懐かしい表示がありました。
理由なき反抗(1955)/ Rebel Without a Cause