晴登雨読

山と自然を楽しみ、より良き社会を望む自由人。
飛騨 鈴鹿 大峰など日本百名山から里山まで山の魅力と美しさを記録する。

近江の隠れ里、紅葉の鶏足寺・石道寺

2015-11-12 22:13:14 | 旅・旅行
白洲正子さんの「近江山河抄」に、湖北・木之本の己高山(こたかみ山)山麓の観音信仰の話が出てくる。
 「山河抄」に「湖北の石道寺という寺で、美しい十一面さんにお目にかかった」。その寺は「伊吹連峰のつづきの己高山の麓、石道(いしみち)の集落から少し上った谷間にある」と記されている。
 今、この己高山麓の集落に残る寺院や廃寺跡が、紅葉名所として人気を博している。
 あいにくの雨であったが紅葉には少し早い、11月11日鶏足寺と石道寺を訪れた。いかにも「隠れ里」と言うべき古橋や石道の集落の人たちが守ってきた諸仏・観音像と合わせて紅葉が見事な景観を見せた。
 帰路、国道303号を揖斐川町へ抜けたが、この山間の道も見事な紅葉の景色を見せてくれた。

己高山麓の集落・古橋・石道

古橋の集落の「世代山岩戸寺」。この地に鶏足寺の十一面観音などの諸仏・秘宝が安置されている己高閣・世代閣がある。


木之本町古橋に己高庵という宿がある。ここより古橋の田んぼ道を通って鶏足寺(旧飯福寺)へとつながる

鶏足寺(旧飯福寺)の参道

鶏足寺は、もともと己高山に724年に僧 行基によって十一面観音菩薩を本尊として開かれ、その後、最澄が名を「己高山鶏足寺」と改めた。室町期には、僧房120宇を容する大寺院であったが戦乱と明治以後の廃仏毀釈などで荒れ果て、村人らが本尊の「十一面観音像」など諸仏を山麓に祀り大切に守ってきた。







石道寺
石道寺。このお寺は、己高山5ケ寺の一つで、明治期に無住となり、大正4年、里人の手で現在の地に移築され、重要文化財の十一面観音や持国天・多聞天などとの諸仏が、このお寺に安置されている。





岐阜・滋賀の県境も紅葉の盛り
雨に煙る金居原の集落

鈴鹿・天狗堂の秋

2015-11-08 21:12:15 | 鈴鹿の山々
鈴鹿山中に「天狗堂」と言う珍しい山名を持つ山がある。最近、広大な鈴鹿の山域を市域とする東近江市が、市内の標高千メートル級の特徴ある山を「鈴鹿10座」として選定した。
 鈴鹿最高峰の御池岳や琵琶湖を望める御在所岳、コケの絨毯が広がるイブネ、シロヤシオの眺望が広がる竜ケ岳、花の山・藤原岳などとともに、この「天狗堂」を含む10座を選定した。
 「天狗堂」は、鈴鹿のほぼ中央部、愛知川支流の御池川を挟んだ「御池岳」の対岸に位置する標高988mの峻峰である。今回は、「天狗堂」へは東近江市の木地師の里、君ヶ畑の大皇器地祖神社の参道からの登山道を急登し、尾根道に至り天狗堂からサンヤリ(958.1m)へ、そして天狗堂へ引き返し、御池林道に下るルートを山の会のメンバーとともに歩いた。鈴鹿の見事な紅葉が堪能できる山旅だった。

木地師の里・君ヶ畑の大皇器地祖神社の参道から出発

神社境内の奥を登ると幽玄な森林
紅葉の中を行く。しばらくすると「急登」の登山道になる。
朝からの雨で道が滑ること滑ること。


天狗堂山頂直近の展望岩。眺望がすばらしい


登ること2時間で天狗堂山頂に到着




展望岩からは御池岳・藤原岳・竜ヶ岳など鈴鹿の主稜線の山々を一望

サンヤリの頂は、標識はありますが眺望は望めません。

下草の紅葉が美しい植林の尾根道

サンヤリからの戻りに見上げる「天狗堂」

天狗堂からサンヤリの尾根道はシャクナゲの大群落
サンヤリへの尾根道はシャクナゲの大群落地。春が楽しみ


サンヤリから天狗堂を経て御池林道へ下山
御池林道へ下山。御池川も紅葉の盛り

四国の最高峰・石鎚山の紅葉

2015-11-06 14:01:55 | 四国の山
四国の最高峰・石鎚山の紅葉を期待して山の会メンバーとともに10月31日登頂を目指した。
 10時過ぎに石鎚山ロープウエー駐車場に到着。山頂成就駅から11時に登山を開始した。この成就駅付近は、いまが紅葉が盛りであった。
 紅葉の中、石鎚山の東にそびえる「瓶ヶ森(1896m)」が雲海を従えてどっしりとした大きな山容をあらわした。石鎚登山コースに絶えず、この「瓶ヶ森」が付き添ってくれることになる。
 暫く歩くと八丁の鞍部に到着、紅葉のブナ林を行く気持ちの良い尾根道である。12時30分「試しの鎖」をよじ登った後、「前社ケ森」の休憩所で昼食を取った。そのあと「二の鎖」をよじ登り、一の鎖を迂回して14時に「弥山」の頂上にたどり着いた。
 頂上からは、眼下に瀬戸内海が大きく広がり、東方には伊予富士など四国の脊梁をなす山々が、そして頂上の正面は「天空を突く天狗岳」の異形の山容が登山者を圧倒する絶景となった。
 弥山から、両端が鋭く切れ落ちた岩稜を天狗岳へ往復の後、登って来たルートを引き返して17時にロープウエイ乗場に無事下山できた。

雲海を従えた「瓶が森」が迎えてくれた
ロープウェー成就駅を降りたら、この風景が広がった

石鎚神社の成就までは、落ち葉の道を進む

登山道の入口となる成就社の山門

見事な紅葉越しに見る弥山

四国の最高峰・弥山の頂からの360°の大展望
頂上の笹原が展望できる「瓶が森」

四国の脊梁をなす山々、伊予富士方向を望む

天空を突く「天狗岳」
天狗岳をよじ登る登山者の姿がはっきりと

弥山頂上での記念写真

四国 剣山

2015-11-04 17:05:23 | 四国の山
 すでに山頂付近は紅葉も終わりを迎えた、四国の第2・第3の高峰である「剣山と次郎笈」を山の会のメンバーとともに訪れた。
 車で徳島自動車道の美馬ICから国道438号線を登りつめて、見の越の登山口に1時過ぎに到着。さっそく登山リフトで西島駅へ。
 登り始めて30分で刀掛けの松へ、さらに登ること30分で剣山の頂に立てた。360度の大展望が開けて、西方には笹原が覆う次郎笈が見事な山容を誇っている。「剣と次郎笈」をつなぐ尾根道を一旦下って、また登り返すこと50分で次郎笈の頂に立てた。
 帰路は、剣山の頂を迂回するルートからリフト口の西島駅に16時30分に到着した。四国特有の笹に覆われた2つの高峰を結ぶ稜線の景観は、見事と言うほかない。
 この日は、見の越から車で数分のラ・フォーレつるぎ山に宿を取って、翌日、四国第1の高峰「石鎚山」をめざす。

見事な景観をなす剣山と次郎笈を結ぶ稜線
登ること30分で刀掛けの松へ

剣山山頂

笹原が広がる剣山の頂上台地

剣の頂から四国の山が一望に、西には三嶺、そして次郎笈が

剣から次郎笈を目指す

次郎笈手前の尾根道から次郎笈を望む

次郎笈から剣山を望む。尾根道は気持ちの良い笹の道

剣山の頂を迂回するルートから三嶺方向への登山道を望む

大剣神社の巨岩を望む

大剣神社の巨岩、ここに御神水がある



秋・東京里山

2015-11-02 17:19:29 | 里山散歩
 秋の東京の里山散歩を試みた。「東京に里山?」といぶかる向きもあるが東京周辺にも「武蔵野」の面影を残す風景が随所に残っていると思い、2日間をかけて「東京の里山」を巡った。
 まず、快晴の10月26日、紅葉には今少し早い八王子の「高尾山」を訪れた。メインの表参道を避け「高尾山の植物コース(3号路)」と「森と動物コース(4号路)」を歩くことによって、高尾山が東京の「里山」であることが実感できる。
 高尾山を下山後、さらに八王子市の「長沼公園」を巡った。この公園は住宅地に攻め立てられながらも多摩丘陵の北縁に広大な「武蔵野台地」の風景を残すれっきとした「里山」である。
 もう一つ、東京都に隣接する川崎市の「生田緑地」を訪れた。この生田緑地も住宅地やゴルフ場、専修大学、明治大学に囲まれながら奇跡的に自然が残った貴重な緑地、「里山」である。

高尾山の自然散策の道
メインの表参道でなく里山を感じる自然散策の道。表参道の浄心門を左にそれて「植物コース」へ





高尾山山頂から富士山を望む

東京の里山そのもの長沼緑地
緑地公園入口の地蔵尊。後は稲刈りが終わったたんぼ


緑地公園の中は武蔵野丘陵の雑木林





緑地公園からは八王子市街が一望

奇跡的に残った川崎市の生田緑地の「里山」

生田緑地。「里山」から新宿・都心方面を望む
まさに、東京の里山と言える