映画『大脱走』を劇場へ見に行く。
以前、家でDVDで見たその時には、途中で挫折した。
いつか全部見ようと考えていた中、「午前10時の映画祭」での上映を知って飛び込んだ。
今一つの体調で、当初はへろへろぼんやり見ていたが、最後まで見て悟った。
これ、劇場の大スクリーンで見ないとダメなやつなんだ、と。
そもそも私の場合、登場人物の顔と名前がなかなか一致してなかった。あと国。
実話が元になっているため、大半の人が逃げきれないという顛末も、受け入れがたかった。
兵士としては、収容所から逃げ出してみせる事自体が、敵の戦力を割かせる攻撃なんだという事を、理解できなかった。
逆に言えば、それらの点をクリアした上で見れば、評価は逆転する。
なんと丁寧で興味深い作品なんだろうと。
ヒルツ&アイブス、ヘンドリー&ブライス、ダニー&ウィリー、バートレット&マックといったコンビそれぞれ注目ポイント多々。
味方も敵も基本的に、頭の回転も速く行動力もある上で、密かな攻防戦を繰り広げる。
3時間の長丁場は確かにキツイが、ヒルツとアイブスの脱走失敗など、省くべき場面はバッサリ切っている。即落ち2コマレベル。
ギャグも用意されてる。飛び乗ったベッドの底が抜けるシーンは笑える。
そして、私がかつて挫折した辺り、2時間過ぎてから、実はこの映画の本領発揮。
狭いトンネルを抜けた先。広大な草原をバイクで駆け抜ける。長大な線路を列車が走る。遠大な川を、海を、船で巡る。
確かにラストは切ないが、再収監されたヒルツの、ふてぶてしい笑みは救いでもある。
きっと彼はまたすぐに、大脱走を企てるだろう。
失われていく仲間たちの思いも背負って、何度でも。
それでは。また次回。