『宇宙の戦士』(ロバート・A・ハインライン)、読了。
1959年初出。
「ガンダムの元ネタ」という触れ込みだけを、ずっと以前に耳にした。
逆にいえば、それ以外の予備知識は無し。
自分の知るハインラインなら読みやすいだろうと手に取って、そして混乱した。
1987年にロシア&アメリカ&イギリスの連合と、中国とで戦争があった事で、国家がほぼ壊滅した後、世界連邦が作られたという世界。
クモと呼ばれる宇宙人と長く戦争を続けており、兵役を経ないと市民権がないという。
それで主人公は、最初は何となくの進路として軍隊に入り、ひたすら根性をしごかれ、「宇宙の戦士」として成長していく。
と言っても、全世界が統一されているわりには、軍の描写は画一的で、実際の米軍の話をSFに置き換えただけなのではという感覚が付いて回った。
そもそも「市民権」という概念からしてアメリカ的だし。
あらゆる文化の人がアメリカ的思想に殉じてるというのは、自分にはあまり響かなかった。
ただ、男女や人種など、他の差別は一切存在してない事は好ましかった。
なお、「ガンダムの元ネタ」というのは、厳密には挿絵(イラスト)であり、小説の描写はちょっと違う気がする。
装着するパワードスーツなのだから、アイアンマンとかの方が近いだろう。
因みに原題は『STARSHIP TROOPERS』。
どこかで聞いた事あるぞと調べれば、このタイトルで映画化されてふんですね。
まるっきり別物のようだけど。
怖いもの見たさで、いつか見ようかな。覚書。
それでは。また次回。
『プラトニックチェーン(1)』(by渡邊浩弐)、読了。
或る漫画のモチーフと似てるというレビューで知った。
全30話収録の短編集。
週刊ファミ通で連載されていたという作品。
初出は2003年。
『噂』(by荻原浩)(2001年)より後、『絶叫仮面』(by吉見知子&平山けいこ)(2009年)より前。
2003年頃は、ガラケーのiモード全盛期で、PCの個人サイトが華やかだった。
スマホは無い。SNSどころか、mixiもまだ無い。
前略プロフも無い。そんな当時。
物語はどれも非常に短く、4~5ページで完結する。
前後どちらの章から読んでも成立する、といった風変わりな展開もある。
この形式から判断すれば、短編というより、ショートショート集と呼んだ方がよいかもしれない。
ただし、物語たちにはある程度の共通項がある。
いわゆるギャル系の「ヒトミ」と「リカ」、その二人と関わる同年代の男性「ケンイチ」など、恐らく同一人物だろうキャラ達がしばしば登場するのだ(明言はされない)。
そして最大の共通項は、「プラトニックチェーン」と呼ばれる「この世のあらゆる情報を調べられるサイトと、そのサイト管理人である探偵」という謎めいた存在だ。
例えば、1話だけネタバレしない範囲で述べれば、私の印象に残った『たくらんで……』では、「自分と限りなく似たプロフィールの人を出来るだけ多く集める」なんて離れ業もお手の物。
さて、もしも自分が、そんな風に何でも調べられる「すごいサイト」を知ったら何をするだろう。
一人っきりでノンビリ出来る秘密基地としてセカンドルームを手に入れるとか、そんな事くらいだなぁ。
それでは。また次回。
(追記。記事タイトルにした「白人酋長」というジャンルは、上記のような「文明人が未開人の長になる話」を指す言葉です)