好事家の世迷言。

調べたがり屋の生存報告。シティーハンターとADV全般の話題が主。※只今、家族の介護問題が発生中です。あしからず。

小松左京の純文学の世界。

2023-04-12 | 物語全般
『地には平和を』(by小松左京)、読了。

自分には小松作品は合わないと感じつつも、世間で名作と評されている事から、せめてもう少し読もうと足掻いている今日この頃。
今回はデビュー作を読んでみようと図書館で借りた。
阿部出版という聞き慣れない所から出版されていた。
商業デビュー前、同人誌で発表された作品群をまとめた本との事。

全6話収録の短編集、なのだが。
私はこの度、初めて知った。
小松氏は純文学作家として活動した後に、SF作家になった事を。
そんな私だから、最終話の『地には平和を』に至るまで、ひたすら面くらい続けた。

犯された女が老人に説教されて殺される『慈悲』。
いゆわるBSS(ぼくがさきにすきだったのに)的な恋愛を思い返す『最初の悔恨』。

男性四人の事情を描く『溶け行くもの』は、時系列が前後しまくって非常に混乱した。
男の一人が自殺しようとするのを、他の三人が止めるも、結局その男は虫垂炎の悪化で死んでしまう。

比較的長編の『失敗』に至っては、大学を出た主人公が人生に行き詰まって餓死に至るまでが克明に書かれ、読んでいて何度も気分が悪くなった。

そこまで耐えて読んだ『地には平和を』は、確かに私のよく知る小松作品の色だった。
1945年秋に戦争の続く日本で、14歳の少年は、5000年後から来た未来人から「この歴史は間違っている」と言われ、その時間軸は消滅する。どこかの剪定事象みたいな話だった。

それでは。また次回。

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