わたしは車を持っていない。
車庫がないということで車は買ってはいけないと、まるで若い娘のように父に申し渡された。
まあお店の開業でお金が無くなったというのが真相ではあるが・・
そこで毎日送迎は父がしてくれている。
父の運転はとても荒っぽくて市内を5分走るだけなのに時々酔ってしまう。
昔、日本橋で運転をしていたことが、とても自慢らしく自分の技術に絶対の自信をもっているから始末が悪い。
なぜか赤信号の近くで加速して急ブレーキをかけて止まるという癖があって、いつもわたしに怒られる。
しかしわたしが怒れば怒るほど嬉しそうに笑っていて、またそれで腹がたつのだ。
その父は昔から異常に鳩胸でいつも何か自信満々な様子で歩く。最近は年を取って腰痛がでてきて、さらに何か胸を前に突き出してバランスを取っている。
はじめてオードリー春日を見たときに、なぜか父に重なった。異常な鳩胸どうし。
春日のことは好きなのだが複雑な感じ・・
ある日、また必要以上に胸を張って歩いている父に「そんなに胸張ることないじゃん!」と言ったら、突然父が
「オードーリー!」と叫んだ。
おそるべし春日!お笑いを見ない父にまであなたの名前と立ち姿は浸透していたのです・・
それから父のことを「オードリー」と呼ぶようになった。