伝説の歌番組・夜のヒットスタジオを語る

伝説の音楽番組「夜のヒットスタジオ」の22年間の足跡を通じて、日本の歌謡界が最も輝いていた時代を振り返ります。

夜のヒットスタジオ・歌手別出演履歴<22> 由紀さおり

2007-07-25 | 夜のヒットスタジオ/歌手別出演履歴
「夜ヒット・出演履歴」シリーズ、今回は由紀さおりの出演履歴を振り返ります。

◆由紀さおり-初出演:1969年5月19日(第29回)/最終出演:1988年11月23日(第1041回)、出演回数:65回
01 1969/05/19(0029) 夜明けのスキャット
02 1969/07/07(0036) 天使のスキャット
03 1969/10/20(0051) 枯葉の街
04 1969/11/17(0055) 枯葉の街
05 1970/02/09(0067) 好きよ
06 1970/06/15(0085) 手紙
07 1970/09/21(0099) 手紙
08 1970/10/12(0102) 手紙
09 1970/11/23(0108) 生きがい
10 1971/01/04(0114) 生きがい
11 1971/02/08(0119) 生きがい
12 1971/03/15(0124) この愛を永遠に
13 1971/05/24(0134) この愛を永遠に
14 1971/07/12(0141) 男のこころ
15 1971/08/23(0147) 男のこころ
16 1971/11/01(0157) 初恋の丘
17 1972/01/10(0167) 初恋の丘
18 1972/02/14(0172) 土に還るまで
19 1972/03/20(0177) 土に還るまで
20 1972/04/03(0179) 土に還るまで
21 1972/04/24(0182) 土に還るまで
22 1972/06/05(0188) 土に還るまで
23 1972/07/10(0193) 故郷
24 1972/08/14(0198) 故郷
25 1972/09/25(0204) 故郷
26 1972/10/23(0208) りんどうの花
27 1972/11/27(0213) りんどうの花
28 1972/12/18(0216) りんどうの花
29 1973/01/08(0219) りんどうの花
30 1973/02/05(0223) りんどうの花
31 1973/03/26(0230) ルーム・ライト(室内灯)
32 1973/04/23(0234) ルーム・ライト(室内灯)
33 1973/05/21(0238) ルーム・ライト(室内灯)
34 1973/08/20(0251) 恋文
35 1973/10/22(0260) 恋文
36 1973/11/12(0263) 恋文
37 1974/01/14(0271) 春の嵐
38 1974/03/11(0279) 春の嵐
39 1974/05/13(0288) みち潮
40 1974/08/05(0300) 挽歌
41 1974/09/02(0304) 挽歌
42 1974/11/18(0315) 挽歌
43 1975/01/20(0324) 季節風
44 1975/04/07(0335) さよならの走り書き
45 1975/04/28(0338) さよならの走り書き
46 1975/10/06(0361) 慕情
47 1976/02/23(0381) かたちばかりの幸福
48 1976/03/08(0383) かたちばかりの幸福
49 1976/05/03(0391) つかの間の雨
50 1976/08/30(0408) こころもち 気まぐれ
51 1977/01/24(0429) ふらりふられて
52 1977/03/07(0435) ふらりふられて
53 1977/05/09(0444) う・ふ・ふ
54 1977/06/20(0450) う・ふ・ふ
55 1978/06/05(0500) ガラスの日々
56 1978/07/17(0506) ガラスの日々
57 1978/10/09(0518) トーキョー・バビロン
58 1978/11/27(0525) トーキョー・バビロン
59 1979/04/02(0543) 愛を切り札にして
60 1979/08/20(0563) 愛したもうことなかれ
61 1980/03/17(0592) たそがれタペストリー
62 1982/09/27(0724) アデュー
63 1983/07/25(0766) シングルナイト
64 1987/08/19(0975) お先にどうぞ
65 1988/11/23(1041) ゆらゆら

由紀さおりの芸暦は古く、1950年代半ばに本名の「安田章子」名義で、姉の安田祥子と共に童謡歌手として活躍。そして一時芸能活動休業の後、1965年に今度は歌謡曲歌手として「ヒッチハイク娘」なる曲でデビューをしたものの、これが全く振るわず、その後数年間、混沌とした低迷の時代を強いられました。

ところが、1969年、いわば事実上の再デビュー曲ともいえる「夜明けのスキャット」が深夜放送から火が付き、当時の大学生らを中心に支持され、累計150万枚以上の大ヒットを記録(ちなみにこの曲は1969年のオリコン年間シングルチャートで第1位を記録しています)。この曲を皮切りとして、「枯葉の街」「手紙」「生きがい」など、その清涼感のある美声を存分に生かした質の高い楽曲を次々ヒットさせ、人気歌手の仲間入りを果たすこととなります。
ヒットスタジオにも勿論出世作である「夜明けのスキャット」で発売から2ヵ月(1969年3月10日発売)後の1969年5月に初登場。売れ出した最初の頃は新曲発表のとき以外はさほど番組に顔を出していなかったようですが、1971年~1974年にかけては1~2ヶ月に1回ペースの準レギュラー格として登場。後に「ドリフ大爆笑」などのコント番組でも広く知られることになる芸達者ぶりを夜ヒット前期の名物コーナー「歌謡ドラマ」の中でも遺憾なく発揮しており、このコーナーの常連出演者でもあったようです。

1970年代後半以降、歌手としては佳作は多いものの、ヒット作にはあまり恵まれなくなりましたが、上述のコント番組などでの芸達者ぶりが大きく注目され、1980年代に入ると、映画「家族ゲーム」(1983年)・「早春物語」(1985年)、ドラマ「あんみつ姫」(「月曜ドラマランド」内シリーズ、フジテレビ・1983年)、「妻たちの課外授業」(日本テレビ・1985年<※因みにこの番組は夜ヒットの裏番組でもありました>)、朝の連続テレビ小説「チョッちゃん」(NHK・1987年)、バラエティー番組「今日もワクワク!」(日本テレビ・1985年)等の司会など、女優・タレント業に完全に芸能活動の重点を置くようになります(夜ヒットの出演も上記リストでもわかるように1983年7月の出演を最後に暫くブランクがあり、この期間内に彼女の女優としての代表作とされる作品の多くに出演しています)。

しかし、1985年、姉である安田祥子と共に初心に戻る意味合いから姉妹ジョイントによる童謡コンサートを開始し、次第に再び歌手業、それも彼女の芸能活動の原点である「童謡歌手」としての活動が注目され始め、1987年の末には1979年の落選から暫く遠ざかっていた「NHK紅白歌合戦」にも歌謡曲歌手としてではなく「童謡歌手」として再出場。これ以降は、ドラマ・バラエティー番組への出演は極力控えるようになり、歌手業を再び主軸においた芸能活動を展開するようになりました。
ただ、あくまでも童謡歌手としての活動を軸としながらも、数年に1回のスローペースながらも歌謡曲の新譜をリリースし続けており、特に1987年に発売した「お先にどうぞ」は久々のオリコンチャート入りを果たすスマッシュヒットとなり、夜ヒットにもこの曲で4年ぶりに出演しました。

1990年代半ば~2000年代初めにかけては、姉・祥子とのユニットで紅白にも連続出場し、童謡歌手としてのイメージが完全に浸透していきましたが、2002年の紅白に落選して以降は、再び女優として側面が注目されつつあり、以前ほど彼女の歌う姿をテレビで見かける機会は減りつつあります。

半ば夜ヒットの話題からは脱線しますが、私は小さい頃から由紀さおりという人が持っている個性や世界観に好感を持っています。

最初に由紀さおりの存在を知ったのは、「ドリフ大爆笑」に毎回コメディリリーフとして出ていた頃で、実際のところ、まだ幼かったせいもありますが、最初は彼女のことをてっきり「単なるタレントさん」だと思っていました。それぐらいにこの番組で見せる、上品ながら時折突然やってくる「狂気」に近い強烈なボケぶりが絶妙だったんですよね・・・(たとえば、初期「バカ殿」のお約束ともいえる「15でございます」という強烈な年齢サバ読みや、いかりや長介と夫婦という設定でのお互いの容姿・性格に対する徹底的な罵倒合戦なんかはとても本職歌手とは思えないぐらいのコメディアンとしてのセンスの高さを感じさせます)。おそらく夜ヒットの「歌謡ドラマ」でもああいう雰囲気だったんだろうなあ・・・と、CSの「大爆笑」の再放送を見ていて思います。 本職歌手ながら彼女の女優・コメディアンとしての才能は本職女優・芸人の勢いを時に打ち負かしてぐらいに凄ましいものがあります。

歌手としても、昔の映像で流れる彼女の歌声と今の歌声が殆ど変わっていない点もやはり特筆に値する部分だと思います。普通であれば、年齢を重ねるに従い、たとえプロの歌手といえど、声量が衰えるのが普通で、聞いている側が逆にその音程の不安定さや声量の衰えからハラハラさせられることも往々にしてあったりしますが、彼女の場合はすでに還暦近くになった今でも、かつてのヒット曲を同じキー、同じトーンでブレもなく歌え、聞いている側も安心して歌に神経を集中できる。こういう歌手はなかなかいそうでいないと思います。

歌手、女優・タレントいずれの側面から見ても彼女は「ずば抜けたプロ意識の持ち主」であるという感じがします。何れの側面のイメージも同等に広く浸透しているのはその何よりの証拠ではないでしょうか。彼女から教わるべき部分、今のタレント・歌手たちにはかなり多いように思います。

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1 コメント

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由紀さおりさん (Shoma)
2011-05-02 09:14:54
この間、youtubeで見て気づいたんですが、77年12月19日にも出ていらっしゃいますよ。
ちなみに、曲目までは分かりません。
オープニングメドレーでは、ラストに夜明けのスキャットを歌われていました。
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