Kakuma News Reflector 日本語版

カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
翻訳:難民自立支援ネットワークREN
著作権:REN(無断引用転載禁)

2018年12月号 編集長からの手紙

2019年07月07日 | 編集長からのメッセージ
親愛なるKANERE読者の皆様へ

最近、KANEREについて何も知らない友人と話をしました。私は、とても“ユニーク”なニュースレターだよと言いました。すると、カクマの他の出版物とどこが違うのかと聞くので、即座に、KANEREは独立しているのだよと答えました。キャンプでは、いわゆる“難民情報誌”と呼ばれる出版物が沢山発行されています。それらは難民をうたい文句にしていますが、実はFilm Aidのような人道支援団体のスタッフによって運営されています。これらの団体は国連難民機関の資金提供を受け、難民キャンプは“人道的な支援”をしていることをケニアや国際メディアに伝えることを目的としています。しかし、そうした語り口は、難民自身の視点や意見を反映したものではありません。この点で、KANEREは他の出版物と異なります。KANEREは独立しているからこそ、人道機関や外部団体を経由せずに難民の利益に寄り添った報道ができるのです。

もちろん、KANEREの発行を続けるにはいろいろなハードルがありました。私が2017年にケニアからカナダへ移住した時には、私の責務の大半は後任の編集長エリアス・レンマに譲りました。その後間もなく、エリアスが難民再定住プログラムでアメリカに移りました。彼の人生にとってはターニングポイントになるとても良い知らせでした。なにしろ彼は、国を追われたジャーナリストとしてしっかりと保護されるべき人物だったにもかかわらず、15年もカクマに留め置かれたのですから。しかし、こうした移動で活動は後退し、新聞の定期的な発行は中断してしまいました。それでもKANEREチームは報道への情熱の火を灯し続けました。2018年の初め、エリアスは編集任務を現在の編集長トロッサ・アスラトに移譲。現在はトロッサが、若くて献身的な難民ジャーナリストとリポーターのチームを立派に率いています。
生き残るために支援物資に頼っている難民たちにとって、カクマのような難民キャンプでの生活は山あり谷ありの連続です。キャンプは1991年に、国際法の不備と人間倉庫のような収容所に難民を入れる暗黙の了解によって設立されました。こうした背景の中で、サービスの提供や長期化している収容の恒久的解決に関して、良い展開もあれば悪い展開もありました。今月号は、これらの展開のいくつかを紹介しています。

KASI(Kiosk to Access Service Information)として知られている難民認定の革新的新技術の導入は、難民と支援機関のスタッフとの意思疎通に役立っています。支援機関はKASIを使って難民に各自の重要情報を取得させようとしようとしていますが、多くの難民は携帯電話やPCの扱いに慣れておらず、これが課題となっています。
ソマリア、ルワンダ、ブルンジ出身難民対象の本国帰還プログラムは帰国の方法を提示しています。これらのプログラムはすべて難民による自発的行動に委ねられていますが、多くの難民の個人的、社会的事情を考えると、これらの国に帰国するのはまだ安全とは言えない状況です。

その他の出来事の中で、カクマで起きた二人の難民の発砲死亡事件と、それに続く強盗事件を最新の治安状況として取り上げました。

編集部に対するコメント、ご意見、批判、専門的な指摘などは引き続き大歓迎です。kakuma.news@gmail.comまでメールをお寄せください。

2019年を迎えるにあたり、KANEREチームより 新年のご挨拶を送ります。
Happy New Year !! 

KANERE編集チーム:カバタ・ボル、エリアス・レンマ、トロッサ・アスラト


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