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E88CCを使った真空管フォノイコライザーアンプ 電源回路の改良(リップルノイズ削減)

2021-08-17 23:55:07 | オーディオ

昨年の7月に自作したフォノイコライザーアンプの電源回路を改良しました。ヒータ電源回路で発生していたリップルを大幅に減少させました。
3種類の3端子レギュレータ(LM350T、LM317T、NJM317F)のリップル除去比を実験により比較し、特性が最良のLM350Tをヒータ電源回路用として選択し、またヒータ電源回路と高圧電源回路のグラウンドの配線パターンを変更して、実現しました。
以下に報告します。

改良した電源回路


1. 3端子レギュレータをテキサス(NSのOEM)のLM350Tに変更する。
下段の実験で、3種類の3端子レギュレータ(LM350T、LM317T、NJM317F)のリップル除去比を比較し、リップル除去比が最も高かったLM350Tをヒータ電源回路用として採用した。

しかし、電源用PWB上のICをLM350Tに変更しても、実験のようにリップルが減少しなかった。なぜかと迷ったのだが、原因が判った。
ヒータ電源回路の三端子レギュレータを外部ヒートシンクに載せるために、回路の流れが途中で180°折れ曲がり、その際に交流入力部と直流出力部のグラウンドを一緒にしてしまったのだ。
数十mA程度なら問題がないが、0.6Ax2=1.2Aの電流を流すと、わずかながら抵抗値を有するグラウンドにその交流電流が流れ、グラウンドに交流電位差が生まれてしまう。

2. レギュレータの基準電圧部を境界にして、1本のグラウンド線を交流用と直流用に分け、交流側の部品は交流用のグラウンド、直流側の部品は直流用のグラウンドに実装する。
回路図の順番に部品をグラウンドに接続すれば良いのだが、回路の流れが折れ曲がる場合はグラウンドも同じように折り曲げて、グラウンドを交流用と直流用に分離した。
同様に、高圧電源回路もグラウンドのパターンを変更した。

3. ヒータ電源回路のグラウンドと高圧電源回路のグラウンドの接続は、直流電源部間を接続する。
以前の回路設計では、グラウンドを交流用と直流用に分けていなかったので、交流電源部で接続されている。直流電源部間で接続するのが正しい。
なお、接続しない選択肢もあるので、実際に試してノイズの少ない方を選択するのが良いと思う。

実装

LM350Tは外装金属部分がVoutに接続されているので、シリコンラバーシートで絶縁し、プラスチックねじで固定している。


フォノイコライザーアンプのグラウンド設計/実装方法の実行内容
最後に、フォノイコライザーアンプ等の微小信号を扱う装置のグラウンド設計/実装方法の実行内容を示す。
・シャーシをグラウンドとして利用しないで回路設計/実装を行い、動作させる。
信号用同軸コネクター(RCAジャック)は、外側金属がシャーシに接触しない製品を選んだ。
(マル信無線電機 MR699、MSK HRJ700、モガミ・ネグレックス#7552等)

・動作確認後に、回路のグラウンドをシャーシに一点アースする。これは金属たわし仮想アースと同じ原理だと思う。
信号入力回路付近のグラウンドを、シャーシに1点アースするのが普通だ。.


3種類の3端子レギュレータ(LM350T、LM317T、NJM317F)の電源リップル除去比の比較実験
実験回路として、ヒータ電源部の1回路分を組み上げた。


電流出力:0.63A
10μFのコンデンサは、4.7μFx2=9.4μFのフィルムコンデンサーを利用している。(上の実験画像では4.7μF)

赤:ICへの入力電圧波形、黄色:出力電圧波形
LM350T


LM317T


NJM317F


結果
電源リップル除去比が最も良いのは、LM350T。
LM317Tは、過制御なのか位相遅れなのか、コンデンサーを増やしても山が消えない。
NJM317Fは制御ループのゲインが足りないようだ。ただ、データシートを見ると、電圧検出部の抵抗値が、LM350Tの1/2の値になっている。これで、良くなるかかも?

今回比較した三端子レギュレータは、全て廃品種だ。フォノイコライザーアンプを自作する予定ならば、購入をお勧めする。LM350Tは秋月電気通商にまだある。

実験では4.7μFx2のフィルムコンデンサーを用いたが大きいので、自作品はタンタルコンデンサ(10μF、1μF)を用いた。星日電子製(中華製?)で、町田市のサトー電気、モノタロウにある。(極性が判りづらいので注意)

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