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E88CCを使った真空管フォノイコライザーアンプの自作

2020-08-23 23:07:04 | オーディオ

真空管E88CCを使った、無帰還形フォノイコライザーアンプを自作しました。目指すは、ヌケの良い音、アタックを感じる音、ツヤのある音で、高圧で動作させる真空管でなければ出せない音です。

自作するに当たり、主に、以下の本やWEBサイトを参考にさせていただきました。
・単行本「MJオーディオアンプ製作選 真空管式フォノEQ&プリアンプ」:故・安井章さんの作例、長真弓さんの作例
・かずさんのWEBサイト:真空管プリアンプ~最終版 (http://fugaku.fc2web.com/sub437.html)
・中林歩さんのWEBサイト:電脳時代の真空管アンプ設計 (http://ayumi.cava.jp/audio/pctube/pctube.html)

・使用した真空管"E88CC"の紹介
アメリカの登録名が6922で、12AX7、12AU7等と同じく、3極管を2回路備えたサブミニチュア管。高信頼、低ノイズのHI-FI用だ。
12AX7と比べ低電圧で動作させる、その代わり電流を流すタイプ。最も違うのがヒーター回路で、2個のヒータ部が直列接続ではなく、並列に接続されている。なお、自作にはスロバキアのJJ ElectronicのE88CCを採用した。

・自作フォノイコライザーアンプの外観及び構造
前面

背面


簡素な外観だが、レコードを再生するフォノイコライザーアンプとしての機能だけを持たせてある。
電源スイッチが下の方に実装されているが、電源ノイズから逃れるためだ。

RIAAイコライザー特性は、電源ノイズの50Hz付近では1KHz付近より20dBゲインが高い。これは、5mV入力のアンプに、0.5mVの電源ノイズが入り込むと、同じ出力電圧となって現れる。

更に目標として、少なくとも40dBのS/N値が必要だから、入力換算では、電源ノイズは信号レベル5mVより60dB低くなることが必要で、結局、回路に電源ノイズが入ってはダメとの結論になる。

そのために、内部に上下を2分するシャーシ(アルミ板)を備え、その上下位置が可変できるケース(摂津金属工業 SF-3B)を選んだ。
2分したケースの、下側部分高さ26mm内に電源スイッチを含む電源回路を実装し、上側部分高さ80mm内に真空管アンプ回路を実装した。
下側部分


上側部分


回路間の電源接続、信号の接続には、JST(日本圧着端子製造)のXHコネクタを用いた。
(圧着ペンチを使用して、コネクタの端子に撚り線を圧着する方法)

電源トランスはシールド付きを選んだので、大型のトランスとなった。しかし、供給電流に余裕が生まれ、低域は力強く切れのある音となっており、選んで正解だった。


フォノイコライザーアンプ回路の紹介

電源回路の紹介
電源回路の改良(リップルノイズ削減)



特性
周波数特性  見づらいが、低周波領域で上にある曲線が周波数特性のカーブです


10HZで+20dB、20KHzで-20dB近傍なので、RIAAイコライザーカーブがそのまま出力されている。

実際の周波数特性を見るために、オシロスコープからCSVデータが出力されるので、エクセルでRIAAイコライザーカーブとの差分を取り、グラフ化した。


中低域が0.5dBUPしているが、素直な特性だ。
.
歪み特性 (1KHz)
オシロスコープのFFT機能を利用している。-60dB付近からオシロスコープ自体の歪が現れるので、-60dB近傍以下の値は信用できない。(縦のひとマスが10dB)
標準入力値5mV入力 (15mVpp入力-- 2.4Vpp出力)


標準入力の10倍の入力値50mV入力 (150mVpp入力-- 23.8Vpp出力)

10倍入力で、1KHzの基本波の隣に2次歪が出現する。歪み率: 56dB

無帰還型の真空管アンプは、徐々に歪が増えると聞いていたが、10倍の入力でもほとんど歪んでいない。これだけ無歪みなら十分だ。
.
ノイズ特性
アンプの出力をそのままオシロスコープのハイインピーダンス入力に接続している。

やはり電源ノイズが出力される。(1波長が50Hz)
オシロスコープの表示では、9mVppとなっているが、電源ドリフト(電源電圧の超低周域の揺らぎ)を拾っている為だ。
ノイズ出力5mVppとすると、標準出力2.4Vppなので S/N比=2.4Vpp/5mVpp=480=53.6dB で、一応、S/N比の目標は満たしている。通常聴くレベルなら、スピーカに耳を近づけても聞こえない。

ちなみに、市販されているアンプのS/N値は、IHF-Aカーブのフィルタを用いて測定されている。バンドパスフィルターで、50Hzのレベルは、1KHzのレベルから30dBも落ちていている。市販品のS/N値は電源ノイズの影響を消去しているので、このアンプのS/N値とは、比較ができない。


電源ノイズを含め改善すべき点はあったのだが、エージングして音を聴いているうちに、「このままでいいや」となってしまった。
まずはこのままで楽しんでいこうと思う。そのうち不満も出てくるだろうから、そのときに修正するつもりだ



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