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スピーカー用2Wayフィルターネットワークの設計と自作。フィルターネットワークに使う空芯コイルの設計と作り方。

2023-07-30 01:57:26 | オーディオ

スピーカーを低域と高域の2Wayにするため、LC回路で2Wayフィルターネットワークを自作しました。2Wayフィルターネットワークの回路設計方法、2Wayフィルターネットワークに使う空芯コイルの設計と作り方を紹介します。(当方の忘備録を兼ねています。)

経緯
バックロードホーンのスピーカーを交換したのだが、高域が不足しており、2Wayフィルターネットワークを自作し、2チャンネル化した。
2Wayフィルターネットワーク回路の設計、コイルの設計と製作には、たくさんのWEBサイトを利用させていただいた。そのWEBサイトを紹介しながら、設計と作り方を紹介します。

1. 2Wayフィルターネットワークの回路設計
フィルター回路には、動作が確実で製作が容易な”12dB/Octave(-6dBクロス)”のLCフィルタとした。”12dB/Octave”とは、周波数が2倍になると、レベルが12dB下がる(レベルが1/4)特性。
また、"-6dBクロス"とは、クロスオーバー周波数で6dB下がる特性。このLCフィルタは高域側、低域側共に同じ位相変化(同相)をする。そして同相なのでクロスオーバー周波数では電圧和の+6dBの合成出力となり、周波数特性はフラットとなる。

1.1 ウーハとツイーターのインピーダンス(抵抗値)と音圧を読み取る。
・ウーハとツイーターのデータシートに掲載されている周波数特性、インピーダンス特性を見て、クロスオーバー周波数を決める。
ツイーターは中域周波数でインピーダンスが大きく上昇している場合があるが、コイルが大きくなるのでクロスオーバー周波数をずらすのが良い。なお音圧は、ツイーターの方がウーハより高いのが原則だ。
・ウーハとツイーターのクロスオーバ周波数でのインピーダンス(Ω)と、利用する帯域の音圧(dB)を読み取る。

1.2 L,Cの値を決める。
計算サイトは複数見つかるが、同じ値を示した次の2サイトで値を決めた。
各種ネットワークの計算 12dB/Oct(-6dBクロス)
ネットワーク設計プログラム 各種ネットワークの計算(下の方)

1.3 アッテネーターの値を決める。
ウーハとツイーターの出力音圧を同じにするために、ツイーター側にアッテネーターを入れる。
パッシブネットワーク計算 アッテネーター量とツイーターのインピーダンスを入力し、アッテネーターの R1,R2を求める。


2. 空芯コイルの設計と製作
低域用、高域用で2チャンネル分、合計4個のコイルを製作する。

2.1 銅線
低域用のフィルターでは、常にコイルがアンプとスピーカの間に接続されるので、ダンピングファクターを下げる。従い最低でも、直径1mmの銅線にしたい。4個のコイルの全長は100mを超える。
エナメル線 直径1.0mm 1kg(約140m)
Amazonサイト1
Amazonサイト2

2.2 銅線を巻くスプール(ボビン)
WEBで、スプールを探したが、理想とするものは見つからなかった。結局以下を選択した。
moonfarm 手芸用 スプール  直径60mm、幅27mmの製品、内径(直径)d:39mm、内幅l:27mm
力を加えても外れないように、プラスチック枠と筒を接着剤で固定する。

2.2 コイルの巻数Nと全長を求める。
WEBでは巻数NからインダクタンスLを求めるサイトは有るが、インダクタンスLから巻数Nを求めるサイトは無かった。
ソレノイドコイルのインダクタンスL コイルの直径d:スプールの内径、コイルの長さl:スプールの内幅
下の"巻線の長さ"が全長だが、1層のみに巻いた長さで、実際には複数の層に重ねて巻くのでこれより長くなる。。

長岡係数Kの計算 2R/L=スプールの内径d/スプールの内幅l

(参考用)インダクタンスLと巻数Nを求める計算式  単位 インダクタンス:H 長さ:m
インダクタンスL=K・((π・d・N)^2÷l) x10^-7  [H] (^2は二乗、^-7はー7乗を示す)
巻数N=√(L・l÷( K・π^2・d^2 x10^-7))

計算値例 (全長は、層が増すと1巻きで2mm長さが増えるのでその分を加えている。)
2.26mH 巻数265回 スプール内の層数9+α 全長34m
0.87mH 巻数165回 スプール内の層数6+α  全長23m
実際には、インダクタンスLを測定しながら巻いていくので、どのくらいの規模になるかの参考値。

2.3 コイルの製作
容易にスプールにエナメル銅線を巻くために、釣り用のスプール巻き器を利用した。エナメル線ボビンを床に置いて、1層ずつ重ねていく。

第一精工 高速リサイクラー

2.4 インダクタンスLの測定
インダクタンスを測れるメータはこれのみ。(特許を保有しているのかな?)
Proster デジタル LCRメーター

巻数を数えても良いのだが、大変なので層数を数えていく。内幅:27mmなので、1層に1mmの銅線が27回巻ける。
・インダクタンスの測定: 規定の層数を超えたら、そこのエナメルを紙やすり等で小さく剥がし、開始部分とエナメルを剥がした部分とのインダクタンスを測定する。足りなければ巻き増し、越えていれば戻す。また、スプール巻き器を利用している場合は、外して再測定する。(規定値になるまで、銅線は切断しない。)

規定値を示したら、20cm程余して、銅線を切断する。
巻線の固定には、長さ30cmのインシュロック(ケーブルタイ)を2本使用した。

3. コンデンサー
耐圧100V以上の製品を選ぶ。複数のコンデンサーを組み合わせ、LCRメータで測定しながら規定の値に近づける。

4. LCR部品の実装
2個のコイルは互いに影響し合うので、出来るだけ離して実装する。
部品の固定、振動防止は、100円ショップのプラスチック用接着剤(透明)を使った。



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