2019年のブログです
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佐藤多佳子さんの『明るい夜に出かけて』(2019・新潮文庫)を読みました。
この本も旭川の本屋さんで見つけました。
面白かったです。
佐藤さんは『しゃべれども しゃべれども』や『一瞬の風になれ』などの、名作と呼んでいい小説を書かれていますが、本作もなかなか力作です。
主人公は大学を休学中の男子学生。
人づきあいがあまり得意でなく、しかも、じーじと同じ女子恐怖症(?)で、生きづらそうです。
それでも、コンビニのアルバイトをしているので、じーじより優秀(!)です。
楽しみはラジオの深夜番組への投稿。
こう書くと、ネクラとしかいいようがありませんが、そんな彼がバイト仲間やラジオ仲間との交遊の中で、少しずつ変わっていく姿が描かれます。
登場人物がユニークで、魅力的。
佐藤さんの温かな視線が光ります。
もっとも、お話は全然、甘くはなく、冷徹(?)で、シビアな世界が展開します。
おとなが読んでも、いろいろと考えさせられる深みのある小説です。
読後感がすごくいい。
旅先でいい小説と出会えて、幸せです。 (2019.8 記)