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ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや原っぱカウンセリングなどをやっています

岩宮恵子『思春期をめぐる冒険-心理療法と村上春樹の世界』2007・新潮文庫-村上春樹さんの小説と心理療法

2025年07月15日 | 子どもの臨床に学ぶ

 2011年10月のブログです

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 先日、河合俊雄さんの村上春樹論を読んだので、今度は久しぶりに岩宮さんの村上春樹論を読みました。

 もっとも、以前読んだのは日本評論社版(2004)だったので、こちらのほうは少し改稿があったらしいのですが、じーじはあまり気がつかずに読んでしまいました(ごめんなさい、岩宮さん。後で比べてみます)。

 岩宮さんは河合隼雄さんの教え子さんで、心理臨床にたずさわりながら、『生きにくい子どもたち-カウンセリング日誌から』(1997・岩波書店)や『フツーの子の思春期-心理療法の現場から』(2009・岩波書店)などのすばらしい本を書かれています。

 『思春期をめぐる冒険』もとてもすばらしい本なのですが、以前読んだ時は残念ながら浅く読んでしまい、本当に申し訳ないのですが、すごく感動をするところまでには至りませんでした。

 今回は前回から7年後で、おそらくはじーじなりに仕事での経験を経たり、年をとって村上春樹さんの小説の読みも多少は深くなっていたのかもしれませんが、とても感動をさせられました。

 途中で、『村上春樹、河合隼雄雄に会いにいく』(1996・岩波書店)からの引用があったので、そちらも久しぶりに読んで感動をしたりして、少し寄り道もしましたが、ようやく読み終えました。

 読みの深さがすごいと思いましたし、事例もとても感動的でした。

 読んで自分の魂が揺さぶられたような感じがしています。

 とてもいい本です。

 もっと、適切な説明ができるといいのですが、今はこれが限界です。

 ぜひ、ご一読ください。         (2011.10 記)

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 たぶん、2016年の追記です 

 今回、あらためて感じたのは事例のすごさです。

 中学生の娘さんが不登校になって相談にみえたお母さんの事例です。

 お母さんとの相談が進むにつれて、お母さんだけではなくて、不思議なことに娘さんも変化し、それにつれてさらにお母さんやご家族もが変わっていくという感動的な事例です。

 この事例を岩宮さんは村上春樹さんの小説や心理療法のことなども参考にしながら考えを進めていきます。

 とてもていねいで、しかも深い考察がなされ、たんなる知識だけでなく、こころの奥のほうから揺り動かされるような感じがする本です。

 今回、特に印象に残ったのは、意識と無意識のバランスをとることの大切さと、無意識の世界を大事にするためには日常の生活をていねいにおこなうことの重要性を再認識させられたことでしょうか。

 なぜか、唐突ですが、禅の道元さんが中国の食事係の禅僧との問答で、食事の準備が即仏道修行だと悟る場面を思い出しました。

 もう一つ印象に残ったのが、生の中に死を感じて生きることの大切さ、ということ。

 先日、松木邦裕さんと藤山直樹さんの『愛と死-生きていることの精神分析』(2016・創元社)を読みました(こちらもブログがありますので、よかったら読んでみてください)。

 同じように、死を感じながら生きていくことがいい生き方になる、と述べられていました。偶然とはいえ、おもしろいところでつながるなと思いました。

 いい本はいろんな学びを与えてくれます。

 さらに謙虚に勉強を続けていこうと思います。      (2016?記)

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 2020年10月の追記です

 本書の増補版(2016・創元こころ文庫)をようやく読みました。

 増補されたのは、村上さんの『1Q84』、『色彩を持たない田崎つくると、彼の巡礼の年』、『女のいない男たち』の三作品についての論文。

 いずれも、本書と同じく、やはり思春期に焦点を当てて分析をしていて、刺激的です。

 また、女性ならではの視点もあるように感じられます。

 さらに勉強をしていこうと思います。          (2020.10 記)

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 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人)のご紹介

 経歴 

 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ。

 1970年、旭川東高校に進学するも、1年で落ちこぼれる。 

 1973年、某四流私立大学文学部社会学科に入学。新聞配達をしながら、時々、大学に通うが、落ちこぼれる。 

 1977年、家庭裁判所調査官補採用試験に合格。浦和家庭裁判所、新潟家庭裁判所、同長岡支部、同新発田支部で司法臨床に従事するが、落ちこぼれる。

 1995年頃、家族療法学会や日本語臨床研究会、精神分析学会、遊戯療法学会などで学ぶ。 

 2014年、定年間近に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士課程)を修了。 

 2017年、臨床心理士になり、個人開業をする。

 仕事  心理相談、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています。

 所属学会 精神分析学会、遊戯療法学会

 論文 家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所  新潟市西区

 mail    yuwa0421family@gmail.com  


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