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荻原浩『海の見える理髪店』2019・集英社文庫-家族を見つめる小説たち

2024年09月03日 | 小説を読む

 2019年のブログです

     *

 荻原浩さんの『海の見える理髪店』(2019・集英社文庫)を読みました。

 この本も旭川の本屋さんで見つけました。買ってから、直木賞受賞作と知りました(荻原さん、ごめんなさい)。

 荻原さんの小説は結構好きで、『オロロ畑でつかまえて』とか『なかよし小鳩組』『さよならバースディ』などなど、いくつか読んでいますが、なかなかいいです。

 いい本で、読ませる本が多いのですが、ユーモアも効いていて、プッ!と笑ってしまうことも多く、電車の中で読むのはやや危険です。

 さて、本書、家族を見つめる短編小説6作からなります。

 父子関係、母子関係、親子関係、夫婦関係、などなど、さまざまな家族関係の綾が描かれます。

 じーじは、亡くなった娘の代わりに父母が成人式に出席をする「成人式」と虐待を扱った「空は今日もスカイ」が気に入りました。

 「成人式」は笑いの中に夫婦の成熟が描かれて、切ないですが、明るくなれる小説。

 一方、「空は今日もスカイ」は、虐待や差別の中でなんとか生き延びる子どもたちと、それを見守る少数のおとなと理解のない多数のおとなが描かれます。

 辛い場面もありますが、元気がもらえる小説です。

 やはり、ユーモアは力になりますし、哀しいことや苦しいことが多い人生の中でも、人はなんとか生き延びることができそうです。

 良質のユーモアはこころの栄養ですし、こころのビタミンなのでしょう。

 できれば、このブログでもそういう文章を書けたらいいな、と思います。      (2019.8 記)

 


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2 コメント

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はじめまして (おかん)
2020-06-09 19:51:20
読書で現実逃避して、かろうじて正気を保ってきた者です。
自分で本を選ぶと、どうしても幅が狭くなります。
色々な本の紹介を拝見できて助かりました!!
荻原浩さんの本は、父子関係の修復をできずに父を見送ってしまった私に、いつも涙を流させます。
転勤で過ごした札幌や京都、東京の下町の出てくる本も大好きです。
障がいのある方々に関係することが多く、他記事も大変興味深く拝見しました。
ありがとうございました。
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コメント、ありがとうございます (どさんこじーじ)
2020-06-10 04:55:41
コメント、ありがとうございます。
萩原さん、いいですよね。
電車の中で読むのは、少し危険かもしれませんが…。
おかんさんも、いろいろな本を読んでいらっしゃるようですね。
わたしは先輩から、専門書だけでなく、小説もいっぱい読みなさい、それが一番役に立つよ、と教えてもらいました。
本当にそう思います。
まだまだ読んでいこうと思います。
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