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日記。

月老爺 1914年2月20日

2016年12月08日 | 臺法月報
月老爺 

△縁結びの神 内地にて十月を神無月と云ふのであるが、之れは日本國中の神々が出雲の大社に集合して各々我管轄する所の若い男女の赤縄を結ぶと云ふのである。然し臺灣は領臺已に二十年になるのであるが、臺灣人の赤縄に就ては臺灣の神々が同じく出雲に行って結ぶのであるかが、疑問であつた、然るに規則の方より云ふ時は、臺灣人は内地人の籍に入って妻となり婿となることは出来るが、内地人が臺灣人の妻となり婿となりて臺灣人の戸籍に入ることは出来ないと云ふ事になって居る、是を見ると臺灣神社が内地に會同に行く際臺灣人の赤縄を持て行て罕に結び付けるのであらう、然らば臺灣人同士のは何處に結ぶかと云ふに、之れは別に臺灣に神がある、之を月(ゴアヲ)老爺(ノオイア)と云ふ、この神は各地にあるが、臺南には打銀街の萬福庵の右側に祀ってある所の神がある、之れが赤き男絲と女絲とを結ぶのであるが、若き男女は盛んに参拝して、自分の赤縄を思ふ人の赤縄と結び付けて貰ふことを祈る、金紙が數枚と線香が數本で、己の欲する赤縄に結び付けて貰ふことが出来るならば御易い事である、臺灣に居る人は内地人でも効があるかも知れぬから儘ならぬ浮世などと嘆く人々は一遍試みに祈願して見ては如何だろう。


1914年 2月20日  
臺法月報 第八巻 第二號